居心地のよい環境を維持するために変わり続ける

合宿最終日。よく晴れたので、筑波山に登ってみることにする。登ると言っても中腹まではバスで、そこから先は山頂近くまでロープウェイで行く (下山はケーブルカー) ので、歩くのは20分くらいである。

この2日は雨や嵐でひどかったが、今日は台風一過で気持ちいい! 女体山、男体山とあるのだが、女体山の山頂からの眺めがよかった。

(写真はうちの学生たち。途中で2人帰ってしまったので、3人しか写っていないけど……)

午後は高エネルギー加速器研究機構 (KEK) の見学があったのだが、所用のため離脱。もうちょっとゆっくりする時間があれば、筑波在住の人たちと会ったりできたかなぁと思うのだが、今回は仕方ない。

というわけで夕方は国立情報学研究所 (NII) に移動して、言語処理学会編集委員会言語処理学会は9月が編集委員の入れ替え時期だそうで、新旧の両委員が集合する会らしく、かなりの人数が集まる。

言語処理学会は、人工知能学会と違い、ほとんど全員が顔見知り (少なくとも名前はお互い知っている) なので、気楽なものである。今回で任期を終えられる旧委員のみなさんが「この委員会はいつも楽しかった」とおっしゃるのが印象的だったが、それも納得である。言語処理はなぜか研究者がみんな温和で、コミュニティの居心地がよいのである。他がコミュニティの居心地が悪いというわけではなく、言語処理が例外的で、恐らく人文系の言語や教育の人もいれば、工学系の人までいる、という包容力があるせいかなと思う。

ともすると「居心地のよさ」は馴れ合いや内輪受けにつながりかねないのだが、そうならないように気をつけていきたい。キーポイントは、若手が常に参入してくるコミュニティになっていることで、来るものは拒まず去るものは追わず、言語処理を「卒業」していく人も出てきてよいと思う (これは意見が異なる人もいるかもしれない) し、そういう言語処理のことも知っている人が、各地で活躍して潜在的に言語処理を広めてもらえるとよいかなと思うのである。

懇親会でいろいろな大学で准教授をされている方々のお話を聞くと、首都大の准教授職は相当恵まれているのだなと改めて思う。授業負担は少ないし、学生は優秀だし、教授陣は准教授・助教の研究者的な将来のことをとても考えてくれるし、都心にも近いし……。(自分も最大の不満は通勤時間が1時間前後かかることだが、これは大学のせいではなく、自分がそんな場所に住んでいるせい)

小講座制で教授がオフィシャルな仕事を、助教が細々とした仕事をしてくれるNAIST東工大のような環境は研究環境としては申し分ないし、それと比べると研究的にはコース制は人員が少なく厳しいのであるが、単独で研究室を持たせてもらっているというのはメリットでもあるし、この環境を存分に活用したい。

さて、今年は言語処理学会の年次大会のプログラム委員も引き受けたのだけど、今年度はちょっとこれ以上学会の委員会関連の新しいお仕事は厳しいかも……。