日本から出ることが研究の転機になる

睡眠時間が足りていなかったようで、朝起きてから二度寝して起きたのは10時過ぎ。天気がいいと外に行こうという気になるが、天気が悪いと家でごろごろしたくなる。

ノーベル化学賞受賞者の根岸さんの本をNAISTの図書館で借りてくる。

夢を持ち続けよう! ノーベル賞 根岸英一のメッセージ

夢を持ち続けよう! ノーベル賞 根岸英一のメッセージ

研究内容についてはほとんど書かれていないが、ノーベル賞級の研究をするための考え方が参考になる。たとえば基本は周期表を見ることだそうで、周期表を見てどういう性質の物質がどのあたりにありそうで、まだ研究されていないのはこのあたり、となったら、徹底的かつ系統的に全部試す、というのは、先日のノーベル生理学医学賞につながった高橋さんの仕事の仕方にも通じるところがあり、納得。

あと、アメリカで研究者として独り立ちするには、というような話が1/4ほどだが、こちらも (日本に帰って来たくて、実際にサバティカルまで使って本気で検討したが) 日本に帰ってこられなかった、という話は、考えさせられるものがある。企業の研究者からアメリカに留学して、会社を辞めてアメリカへ行き、ポスドクから積み上げていく、というのは並大抵のことではない (海外から来たポスドクは大学院生の管理下に入るのが普通だそうで、プライドが邪魔する人はうまくいかないようだが、根岸さんは割とスムーズに慣れたそうである)。

ところどころで強調されているのは、大学院生やポスドクのときは一流の研究者の下で修行することが大事で、超一流の研究グループにいると、注目度も高く、次から次に同門の人がノーベル賞級の成果を挙げることができるので、無理だと思ってもダメ元でも、優れた先生のところに行きなさい、という話。

ここで重要なのは、他の人が優れた研究者であると今言っているようなのでは既に遅くて、自分が「この人の研究はおもしろい、一緒に仕事をしたい」と思うような先生のところに行くべきだ、ということ。その後花開くかどうかは分からないので、一種の博打かもしれないが、新しい今後重要となる研究を担う一員となるというのは、そういうリスクを取って行動することなのであろう。

博士後期課程進学に関して悩んでいるM1の人は、[twitter:@caesar_wanya]さんの進学か、就職かといったエントリを読むとよい。

[twitter:@smly]くんのように、就職しつつ進学する、というアクロバティックなこともできないわけではないが、仕事をしながら研究をする、というのは (業務内容を博士論文に転用できないなら) けっこう大変なので、二者択一になるのも無理はないし、研究能力の向上を考えると、社会人博士で博士号を取るのと課程博士で取るのとでは、相当違うと思うのである。

もちろん学位としては同じなので、社会人博士の人を不安にさせたいわけではないし、逆に社会人博士の人は課程博士の人が逆立ちしても経験できない社会人経験を積みながら博士号を取得でき、金銭的にも心配しなくてよいので、どっちもどっち、人それぞれではあるが……。

両者の間を少し埋める手段として、博士後期課程の学生がインターンシップに行くのはよいことで、かつ海外のインターンシップに行けば (行き先が大学でも研究所でも企業でも)、日本の企業に就職していては体験できない経験ができるので、楽しいんじゃないかと思う。(ビザ取得でやきもきしたりね……)

まとめると、[twitter:@caesar_wanya]さん、気をつけてボストンに行ってらっしゃい、ということである。(笑)