若いうちは新しいことに挑戦し、自分で仕事をする

午前中、修士論文の目次にコメントを入れたり、学内の中間発表のスライドにコメントを入れたり、学内実習の報告書を見たり。

先週「助教になってから共著の論文しかないようだが、助教のうちはもっと筆頭著者で論文を書かないと。」と耳の痛いご指摘をいただき、深く反省する次第であるが、いまの環境では、学生の面倒を見る比率を減らすしかない (たぶん自分の性格的に厳しい) のではないかと思う。松本先生曰く、第二著者以降で論文を書くのは指導力があるということなので、教授になることを考えるとそういう業績はマイナスではないが、筆頭著者で書いた論文の本数を気にする人もいるので、自衛するしかない、ということであった。しかしそれも自分の性格的には難しいなぁ……。

昼、博士論文の中間発表。初めて聞く話だったので興味深かった。博士に進学すると、修士の研究の延長線上に行くか、あるいは新しい研究分野を開拓するか、という選択肢があり、自分は後者を選んだのだが、前者でもそれまで慣れ親しんだテーマから少しずつ離れる必要があり、みんなそれぞれの方向に進んでいるのだなと思う。

新しいことに挑戦するのはいつも苦しいが、自分は助教になってからも博士までの研究テーマから離れたり、学部から大学院に来たときも専門を哲学から情報へと大きく変えたりしても、時間が経てば慣れてくるから耐えよう、と思えるのは、やっぱり学部時代シドニーで1年過ごして、身寄りもなければ言葉も通じない中、段々日常生活に楽しみが増えてきて最後はよい経験になった、という思い出があるのが大きい。自分が得意とするものを全部封じられても、全部捨ててもなんとかなる、という自信がついたので、若いうちにそういう経験をできたのはよかったと思う。

午後、D2 の人たちと談笑。いまD2の人たちは、自分がD3のときにM1として入学してきた人たちで、自分が学生であったころを知る最後の人たちなので、感慨深いものがある (いまD3の人たちは、全員博士後期課程から入学した人たちなので、自分が助教になってからである)。そういう人たちも、就職を考えるころなのだなぁ。

自分もそうであったが、博士後期の人は、いろんなところに出かけていって、先輩たちから話を聞くとよいと思う。少なくとも、博士後期課程を経験した人でないと、博士の就職活動は全然想定できないし、博士後期課程を終えた人でも、自分と同じような状況で学生生活を過ごしたような人はほとんどいないので、色んな人から話を聞いて、自分にもっとも近い人を探してメンターになってもらう、というのがとても大事だと思う。

オライリーから出ていた「プログラマのためのサバイバルマニュアル」

プログラマのためのサバイバルマニュアル

プログラマのためのサバイバルマニュアル

にも、折に触れて相談できる、仕事上の利害関係のないメンターを見つけることが大事だ、ということが述べられていて、全く同意である。この本、タイトルの割には実践的で、テストをどういうときにどのように書くべきか、プログラミング環境をどう整備すべきか、なんて話題が豊富であり、全部に賛同するわけではないが、一理ある考え方がそれぞれ紹介されているので、新人の方々はパラパラと見てみて、興味がありそうだったら買ってみるといいのでは。