自分の人生で大事なことは予備校で教わった

週末荒れ模様と聞いたので洗濯をしておいたり。

先週末はあまり休めなかったので、ぐったり、ではなくゆったりと過ごす。自分にとってゆったりと過ごすというのは、キーボードから離れて過ごすということなのだが、ひとまず忙しくて更新ができなかったこの日記を本日分まで追いついてみたり。もはや毎日更新というのが不可能になりつつあるので、来年度以降どのようにするか考えないと……。(通勤時間に更新とか?)

食材を買いに行くついでに本屋に寄って、「大学キャリアセンターのぶっちゃけ話」

大学キャリアセンターのぶっちゃけ話 知的現場主義の就職活動 (SB新書)

大学キャリアセンターのぶっちゃけ話 知的現場主義の就職活動 (SB新書)

を購入。就職担当の人の「ぶっちゃけ話」を聞けるかと思って期待したのだが、ほとんどは聞いたことのあるような内容で拍子抜け (まあ、自分が2年前に就職活動をしたので、最近の事情について調べて知っているせいもあるが)。本当に「ぶっちゃけ」っぽい話は3エピソードくらいかなぁ。元リクルートの卒業生 (?) が教育 GP の下書きをして大学に売り込んでいる (1回通れば他の大学に使い回せるので、最初は「○○大学に採用していただきました!」と言うために無料で請け負う) とか、国のお金に寄生して生きている人たちがどのようにしているか、とか……。うちの大学でそういう話は聞いたことがないが (そもそも研究費なら研究のことを知らないと書けないし)、金があると見たらどこにも生態系が成り立つのだなと思った。

逆にあまり期待しないで買った「医学部受験の闇とカネ」

医学部受験の闇とカネ (経営者新書)

医学部受験の闇とカネ (経営者新書)

は予想以上におもしろかった。タイトルはほとんど釣りで、基本的には予備校 (個人指導) 業界のビジネスが、どこにどれだけお金がかかっていて、どのようにして受験生を集めるか (このあたりはたぶん編集的な都合)、そして集めた受験生をどのように導いて行くか、という教育論 (たぶんこちらが書きたかったこと)。後者 (3章以降) の教育論が出色の出来。代ゼミのチューター時代も医学部志望の多浪生がちらほらいたが、やはり生活習慣からして浪人を続けるようにできていて、どうやったら彼らを合格させてあげられるんだろう (彼らが医者になっていいんだろうか) と思い悩んだこともあったが、そういう問題に対して全力でぶつかって応えようとしていて、数ページ読んではなるほど、と思いつつ一気に読んでしまった。

ちょっと鼻につくのは筆者が運営する予備校の宣伝がときどき入っていることだが、こればかりは仕方ないし (予備校講師は基本的に自慢が多い)、指導に情熱を持ってやっているのだなと思うので、自分的には気にならないくらいかな。むしろ自分が医者で子どもが医学部志望の受験生だったら、この予備校に入れたいと思うくらいである。(ただ、自分は子どもを医学部に入れたいという気持ちがこれっぽっちもないので、子どもが「医学部に行きたいので、サポートしてください」と言い出さないかぎり、自分からは勧めないと思うけど……)

たとえば

 よく、親や親方、先輩の後ろ姿を見て育つ、などと言います。ところが今の親たちは、自分の後ろ姿を子供に見せていないのです。
「僕はお父さんのような医者になりたいです。お父さんはすごい外科医です」と言う生徒がいました。
「そうか。どんなふうにすごいんだい? お父さんはどんな医者なんだい?」と聞くと、答えられません。
「一度か二度、働いているところを見ただけですから……」
「何だって? それはおかしいぞ。見てもいないのに憧れているのか?」
「はぁ」
「じゃあ、どこがいいんだよ?」
「朝早くでかけますし、人よりも稼いでいます。僕がここに来られたのも、お父さんのお陰だと思います」
「はあ? なんだ、それ。お前な、もっとちゃんとお父さんを観察しろよ。家に帰ってきた時に、どんな顔をしている? くたくたな顔をしていないか? そんな時でも電話が入ってくるだろう? たとえ家で食事をしている時にも、電話がかかってくるだろう?」
「かかってきます」
「そんな時、お父さん、どんな顔をしている? 目つきが変わって、飛んでいくだろう?」
「はい、そうですね」
「それで帰ってきた時はどうた? 嫌そうな顔をしているか?」
「そういう時もあります」
「うれしそうな顔の時もあるか?」
「あります」
「そこだよ、それを見て、お前はどう感じるんだ?」

というように、生徒を指導するというのは、家族全体をひっくるめて子ども時代から掘り起こしていくこと、人として向き合って行くことなんだなぁと思う。[twitter:@northbehind] くんに 西きょうじ講演会 という中継 (いまは録画) があると聞いて視聴してみたが、自分も予備校時代1年間お世話になり、いろんなことを浪人生活で学んだなと懐かしくなる。一番下の弟にも「現役で勉強しないで大学に入るよりは、浪人して1年みっちり勉強してから入るほうがよい」と伝えて実際彼は実践していたが、浪人って長い人生から見ると (費用的な問題でそれが許されるなら) 全然悪いことではなく、むしろ自分と向き合ういい期間だったなぁと思うのだ。