企業の研究所の中でインターンと作るしなやかな研究室

朝から Microsoft Research, Asia (北京にあるマイクロソフトの研究所、略称は MSRA) の方々がお見えになるということで待機。

とはいえ、ほとんど松本先生が対応してくださったので、少しだけ SynCha のデモと Chantokun のデモをして最近の研究について説明する。そもそも時間が5分くらいしかなかったので、ほとんど説明できなかったが、興味を持っていただいたようでなにより。

午後は Microsoft Research Forum 2011 の一環で MSRA の研究者の方々のトークとパネルディスカッション。詳しくは together の Microsoft Research Asiaの研究者による講演会参照のこと (thanks to [twitter:@ats_m] さん)。辻井先生のトークなどもまとめてみた。

[twitter:@tetsuyasakai] さんが "Virtual Sakai Lab" といって、@tetsuyasakai さんのところに来た日本の各大学からのインターン生と一緒に研究をして、いろんなトップカンファレンスに通している話、おもしろかった。なぜ "Virtual Sakai Lab" なのか、というのは大学にいる人でないとピンと来ないかもしれないが、普通研究室 (Lab) を持てるのは大学にいる教員か (国立の、基礎) 研究所の研究者で、Microsoft Research Asia という民間企業の研究所で働く @tetsuyasakai さんが Lab を持っている、というのは、一般的に意味の Lab ではない、ということなのだ。つまり、それぞれの学生は所属する大学に籍があり、公式にはその大学の指導教員の研究室の学生だが、インターン (実習生) という形で Microsoft Research Asia に来てもらって、@tetsuyasakai さんがみっちり面倒を見る、ということである。

実は、自分も企業の研究所に行ったらそういうふうに働きたいなと思っていた。そのように、民間企業でも学生の人と一緒に仕事をできる、というのは、NTT 研究所や Microsoft Research に行って初めて分かったことで、大学院に来る (26歳) までは若い人たちと一緒に仕事したいなら、大学にいるしかないと思っていたので、世の中知らないことがたくさんあるし、思い込んだり決めつけたりするのはもったいない。若い人はどんどん外に出て行って、いろんな世界を見るとよいと思う。@tetsuyasakai さんも、インターンに来たい人がいたらぜひコンタクトしてほしい、とおっしゃっていたし。

さて、自分はパネルディスカッションで Study/Research Abroad というお題で NAIST から MSR/MSRA にインターンに行った方々、あるいは MSR から研究費をいただいたことのある方々に混じってお話させてもらった。しかし、「最大10分」と言われていて10分くらいしたら松本先生から腕時計を指差されて「早く終われ」という無言のプレッシャーを感じたので、駆け足で (というかケーススタディしか話せなかったが……) 終わらせる。そもそも元々の予定から30分以上遅れていたので、パネルディスカッションの予定が、パネルだけでディスカッションの時間が削られてしまったり……。ま、いいか。

夕方、N 田さんとミーティング。[twitter:@seijik42] くんと [twitter:@tomo_wb] くんの国際会議参加報告と、今後の研究予定。研究に関しては、少なくとも一つのテーマを成仏させるまでは、見込みがありそうなテーマに出会えたらそのテーマにはじっくり取り組んだほうがいいような気がする。いろいろなものに手を出してはいけないという意味ではなく、並行してもいいが、とにかく最低一つはジャーナルに出すところまでは持って行く、ということ。研究の世界では、合計何回 (低い) ハードルを超えたか、ということではなく、一番高く飛べたハードルは何か、どれくらい高く飛べたか、ということが重要なので……。(こういう評価のされ方が気に入らない人もいるだろうし、それはそれでいいのではないかと思うが)