東大教授の最終講義: 若手研究者よ、海外を目指せ

朝少し研究室で仕事して東京へ。本郷郵便局で使わなかった年賀はがきを切手に交換したり、当たったはがきで切手シートをもらったり。

午後は先日書いたように「機械翻訳のイノベーション」シンポジウムへ。日中翻訳で問題なのは中国語側のリソース不足、ってことかな。結局英語をピボットにして翻訳したりするようだが、汎用性を考えると仕方ないかなと思う反面、せっかく漢字を使っているんだからそれが活用できるといいのに、と思わなくもない。

夕方は米澤先生の最終講義に顔を出す。楽天技研の方々が大勢いらしてびっくり……。講義は「留学と研究」というゆるいテーマで、計算機科学の有名人の名前がちょくちょく出てくること以外は、一度は本気で留学を考えた人ならみんなどこかで読んだり聞いたりしていることだろう。

もっとも、たぶん米澤先生が「若いうち(35歳以下)に海外に行きなさい」と鼓舞しているような人たちは、まだ留学を考えたことがないような層だと思うので、それはそれでいいんだと思う。ちなみに海外というのはアメリカとかヨーロッパにかぎらないし、中国の北京大とか清華大もいいと思う、ということで、とにかく後先のことを考えず日本を離れましょう、離れたらなんとかなるんじゃないでしょうか、ということであった。日中翻訳が盛り上がりつつあるという話も午後聞いたが、確かにこれからは英語だけではなく中国語も、だろうなぁ。

@tetsuyasakai さんが Wanted! MSRA (Microsoft Research, Asia) Interns from Japan で学生募集しているが、海外の人たちと「戦える」ようになる最低条件は以下のとおり、ということだろう。

基本的には博士課程の学生さんが対象ですが、
実装の得意な修士課程の学生さんも可能性アリです。
[...]
以下の条件を満たす人を期待しています。

  • (博士課程の学生さんの場合)最低一回は国際会議での発表経験があること(ちなみに他国のインターン候補生の場合、国際会議・論文誌での発表件数がドッサリの人はごろごろいます)
  • 研究熱心なこと(旅行ではなくインターンシップです)
  • 協調性があること(他のインターンと仲良くできることは必須)
  • 最低限の英語力(自分の研究内容をなんとか他人に伝えられる)
  • 体が丈夫なこと(まあ最初は若干おなか壊すかも知れません)

なおインターン期間は基本3ヶ月です。

東大の辻井先生も MSRA に加わるし(最終講義は3月18日だそうだ)、この夏以降の MSRA に自然言語処理インターンで行くのは勉強になると思うのだけどな〜 みなさん応募されないかな?

@nokuno さんも書かれているように、変化するリスクと変化しないリスク、両方あるのではあるが (先日紹介した羽生の本も、「将棋のように日進月歩の領域では、変化しないリスクのほうが変化するリスクより高いので、自分は変化し続けるほうを選ぶ」と書いてあった)、将来に関して楽観的でないとえいやと出て行くのは難しいのかもしれない (自分もリスクを過小評価している自覚はある)。出て行って成功しなかった人の体験談は語り継がれないので、あまりサンプルがないだろうし……。

それはさておき、日本学術振興会の海外特別研究員の募集が来ていて、今年はH23年度分の追加募集が30人分あって、H24年度分の110人分と合わせると140人行けるので、行くにはいいタイミングなのだろう。しかしH23年度分は9月に決定してすぐ、今年の10月から来年の2月の間に日本を出ないといけない(かつ2年間)ので、さすがにこんなスケジュールで応募できる人は少ないだろうなぁ。

松本先生も「いまどきポスドクの人はプロジェクトがあるから応募できないだろうし、助教の人も任期付だと2年も行きにくいだろうし、大学の仕事もあるから上が認めてくれるところもあまりないだろうし、応募できる人は少ないのでは」とおっしゃっていたが、H19年からH22年度までの採択率は15.3%, 17.6%, 17.1%, 19.1% とじりじり上がっているし、採用人数は年によって130〜140人にほぼ固定なので、確かに応募できる人自体が減っているのかもしれない。