研究をする時間のつくりかた

午前中は学内実習のミーティング。いろいろとやりたいことはあるのだが、なかなか手が回らない。

ウェブデータを対象とした自然言語処理の研究をしたい、と考えている学部生の人は、とりあえず大学院の入学前に MeCab をダウンロードして自分が解析したいデータ100文程度にかけてみて、どれくらいどういう解析結果になるのかを見てから入学するといいんじゃなかろうか。対話の研究をするとか翻訳の研究をするとかいう以前の問題で、ウェブテキストは解析器泣かせのデータなので、それを見てから研究テーマを決めたほうがいいと思う。「ここまで自動でできるんだ、すごい」という部分と、「こんなのも自動でできないんだ、残念」という部分と両方あり、研究としては後者こそがネタなので、ちゃんとエラーを丹念に見るというのは大事である。

松本先生が捕まらない。副学長になってからどうやらお忙しいらしい。

夕方からカヤック賞という研究助成の説明会。助成額は50万円で、期間は単年度、テーマはウェブ技術を使った研究開発。40歳以下の研究者が対象だが、院生も積極的に応募してください、とのこと。これまでの助成対象はポスドク助教がいちばん多く、次に院生で、最年少は M1 の人が助成を受けたこともあるとのこと。

簡単な研究助成かと思いきや、過去の公募の倍率と応募者数・採択数を見ると倍率10倍前後で、普通の民間の研究助成と同じ水準。確かに50万円くらいなら全額自分で使える大学院生としてはありがたい金額だし、ポスドク助教クラスなら、研究費としてだけでなく、自分の人件費としてもよいので、50万でも嬉しいし。

ただ話を聞いてみると助成したいのは「研究」というよりは「開発」で、未踏に出すようなネタを出してもらうことを想定しているようで、研究ネタを出すことはあまり求められていない印象。本当に (科研費や民間の助成金の申請書を書く練習という意味での) 研究費にしたいなら審査側に研究者を入れたほうがいいと思うし、それよりはせっかくおもしろいカヤックという会社のバックアップがあるのだから、開発ネタに対する賞金としたほうがいいのではないかな。(つまり、研究に関しては学振なり科研費なりがあるので、余暇でやっている一発ネタ的な趣味のプログラムなりシステムなりを助成してくれたほうがいいし、エンジニアの視点で「おもしろい」と思ってもらえるようなものはむしろそちらのほうだと思う)

しかし話を聞いていて自分もカヤックに興味が出てきた (笑) あえて東京ではなく鎌倉に居を構え、100人単位でエンジニアが開発している、というのはすごいなぁ。鎌倉と生駒は雰囲気がとても似ている、とのことだったが、自分もそんな気はしていた。生駒でも人数集まればああいうふうに100人単位で開発する環境は作れるのかもな〜、と勇気をもらった。鎌倉にいて困ることを聞いてみたが、「採用するとき東京在住のエンジニアを確保するのが難しい」「ただ入社してくれる人は鎌倉が好きになった人で、みんな幸せに仕事している」とのこと。たぶん NAIST も同じで、都会的生活がしたい人は東京なり大阪なりの大学に行けばいいから、少し不便くらいのこの環境のままでいてほしいなぁ。

夜も作業していたら @Wildkatze くんが飲みに誘ってくれたので ryu-i さんと3人で飲み@学生室。東工大の話を聞いたり NAIST の話をしたり、研究の話をしたり。自分も実験したり論文書いたりしたいが、全然時間が取れない。ryu-i さんのように、1ヶ月くらい外に出ることができたらいいのだろうが、なかなか…… (でも東京とは Skype ミーティングをしたりしているそうで、完全に好きなことができる、というわけではないとのこと)。来年の1月から3月の間のどこか1ヶ月東工大に行くとか、無理かな。まあ無理だろうな……