研究者は30代の仕事がいちばん世の中に貢献できる

年度末進行。計算機の設定やらなにやら。ジャーナルの査読を頼まれたが、ちょっと分野が違ったのと、査読まだ他の国際会議も残っているので、さすがに断った。

14時から退職する教員の方々の送別会。今年は情報科学研究科を定年退職される先生方が多いので、いつ「最終講義」やるのかなと思っていたのだが、どうやらこの(教職員向けの)送別会の中で「最終講義」的なものをやる、ということのようである (定年退職される4人の先生方の5-10分くらいのトークだったので、「講義」というより「一言スピーチ」みたいな感じだったが……)。

今年定年で名誉教授になられるのは千原先生、西谷先生、藤原先生、木戸出先生の4名の方々。みなさん示し合わせたように「NAIST は新しい大学なので、開学20年で一定の成果を挙げているとはいえ、守りに入らず失敗してもいいからどんどんチャレンジして攻め続けてほしい。みなさん「大学を作ろう」という思いで作り上げてきたので、その初心を忘れないでほしい」というスピーチ。でも、確かに「自分たちの大学を作ろう」という意識はとても強い大学で、それは自分が NAIST を好きな最大の理由かもしれない。

個人的には藤原先生がご自分の論文の citation index の上位から順に挙げられ、「わたしが世の中に一番貢献できたのは30代のころだったと思います。これらの研究は、いろんな論文から引用されるとともに、多数の国内外の企業で実装され、広く使われました。それらは全て第一著者として書きましたが、どれも30代のころの仕事です。(中略) なので、奈良先端大ではぜひ30代の研究者、つまり助教の方々を大事にする大学であってください。いま30代の方々は、ぜひ研究がんばってください」という話をされていたのが印象に残った。

自分も今後どうするか考えると悩ましく、いろいろ検討したりもしているのだが、NAISTでも任期が切れるまでずっといると40歳までいられるので、30代は泥のように研究をする、というのも一つの選択肢なのだな、と思った (いまは研究より教育や開発成分の方が高い)。

あと定年ではないが、他大学へ転出するなどで退職される先生方もスピーチ。こちらもみなさん示し合わせたように「NAIST は自由な大学で、上司にも恵まれ在職中は無責任に(ママ)いろいろやらせてもらい、大変感謝しています。次の職場でもずっと無責任にいろいろやりたいと思います」とおっしゃっている (笑) 

自分も中高生のころは「大学は自由なところだろうなぁ」と思っていたのだが、大学に入ってみるとそういう自由さを感じることは思ったほどはなく (だから大学教員にあまり魅力があると思わなかった)、大学院に来て改めて自由さを感じて、自由というのは学校(環境)が努力して、維持しようとしないとなくなってしまうものなんだな、と思うのであった。

まあ、自分に関しては、中高が自由すぎる学校だったので、それと比較して大学が窮屈に感じたのだろうけど、NAIST は自分にとっては中高の環境並みに自由なところで、逆に中高のころは先生方がものすごく努力して生徒のためにあの環境を守ってくれていたのだな、と感謝することしきりである。

さて、今年も研究室の年報が完成したそうで、数週間前まで校正をしていたのに、こんな早く届いてびっくり。年報は研究室のメンバーが1年間に対外発表した論文を網羅してまとめたもので、見るとその年どういう研究をしていたのか分かっておもしろい。

実は自分が入学してから年報の厚さが少しずつ薄くなっており (つまり対外発表の数が少なくなっている)、去年は博士号を取得する人が多く、卒業前駆け込みで出したジャーナルもたくさんあったので、@taku910 さんがいらしたころのように分厚い年報になるのかなとわくわくしていた。しかし、ふたを開けてみるとそんなに太くはなかった。残念。あのころより人数も増えていると思うので、いつか「過去最高のページ数の年報」を作って、オープンキャンパスに来た松本研受験希望の学生さんたちの紙袋の底が抜けることを楽しみにしている (笑)