FreeBSD のメジャーバージョンを上げると Ports も全部再インストールになるようで、基本的には仕掛けておいておけばいいだけなのだが、ときどき入力が要求されるのが面倒くさい。-DBATCH にしておけばいいのだろうが、Gentoo だとデフォルトでバッチなので、忘れていた。
本屋に行ったら「大局観」が置いてあったので買って読んでみる。
- 作者: 羽生善治
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/02/10
- メディア: 新書
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さてこの角川oneテーマ21という新書は他のプロ棋士も何冊も本を書いているので、自分もよく購入しているのだが、この本の特徴は、羽生が「負けること」「ミスをすること」「リスクを取ること」など、一見ネガティブに見えることを1冊丸ごと語っている点。たとえば、奨励会というプロ棋士の養成機関に入ってからのこと。
奨励会に入って感じたことは、たくさんあった。
まず、ここでは当然ながら同じようなレベルのプロの卵たちが集まって対局するので、今までと同じようなやり方では通用しない、ということである。
きめ細かい小さな手順の違い、ちょっとしたタイミングの違いが、結果を左右するケースが増えてくる。それを理解するには、たくさん時間を使って自力で考え続けなければならない。そうやっていくうちに、本当の「地力」がついているようであった。
また、見通しが立たない状況のなかでもがくことは、とても大切だと思った。今でもそう思っている。
スマートではないかもしれないが、もがき続けて習得したものは忘れにくい。というより、忘れることができない。泥臭く頑張るのは現代にはマッチしにくいのかもしれないが、それでもある部分においては、なくてはならないものなのではないかと考えている。(pp.30-31)
こういう経験、自分もときどきあって、いかに「それまでうまく行っていた自分のやり方を崩すか」というのが重要だなと思う。もちろん、自分のやり方がまだ分かっていない人は、自分にとって向いている方法はなにか、ということを試行錯誤するほうが先決だろうし、せっかく大学受験で体系的に学ぶ方法を身につけても入学してからまた全部勉強方法を忘れて適当にやるようになってしまう、というのはもったいないけれども。
ありとあらゆる可能性をちゃんと試した経験があるかどうか、というのは意外に大事で、ほとんどの人は考えただけで「うまく行きそう」とか思って判断する(というか、判断しただけで行動しない人もいるが)のだが、現実は「うまく行きそう」と思ってもいろんな障害にぶち当たるわけで、そこをどう乗り越えるかこそが腕の見せ所なのではないかなと思う。
うまく行かなさそうなことまで試す必要はないが、うまく行きそうに見えてもやってみたら難しい、ということは往々にしてあるし、本書でも「一見明らかな悪手だが、じゃあ具体的にとがめる手順をプロ棋士が寄ってたかって調べても、「悪手」を悪手にする手順が見つからず、新しい戦法として定着している」という例が何件か書かれていて、理屈をこねてばかりではなく、実践するのは大事なんだなと思うのである。
あと、リスクを取ることについてもおもしろい意見。
リスクとは自動車のアクセルのようなものだ。運転の上手な人は、アクセルを強く踏んでも決して事故を起こさない。
それは、どの程度のスピードまでならきちんと自分で対応できるかをちゃんと知っていて、適切なタイミングでブレーキを踏んでいるからだと思う。
机上の勉強でどんなに運転の理屈を覚えても、実際にクルマを動かしてみなければ運転を覚えることはできないのと同様、実際に自分でリスクを負ってみなければ、その面白さは皮膚感覚として身につかない。
リスクを取る楽しさを一度覚えてしまうと、また取らずにはいられない一面がある。「スピード狂」と呼ばれるドライバーも、これと同じような心境なのかもしれない。(pp.38-39)
最近自分より年下の人たちと話したりしていて、みんなリスク取りたがらないなぁと思っているのだが、リスクを取ることが楽しいと思う人が少ないからなんだろうな〜と腑に落ちた。自分も三軒茶屋で教習受けているときは、30km/h出すのも怖くて教官から「周りの速度に合わせないとむしろ危ないから、ちゃんとアクセル踏みなさい」と毎回のように叱責されたものであるが、奈良に来て運転するようになってからは、スピード狂とまでは行かないが、アクセル踏んで50km/h出ると逆に気持ちいいくらいである。
よく言われるのは「リスクを取りたくないわけではないけど、リスクに見合うリターンがない」という意見だが、自分にとってはリターンは割とどうでもよくて、車でアクセルを踏むのが楽しいように、リスクを取ること自体が楽しいからそうしているような気がする (そして、結果的にときどきリターンがある)。確かにちゃんとリターンを考えると見合っていないかもしれないし、そう考えるとみなさん分別がある、ということなのかもしれないが……。
ただ、リスクに関して言うと、ほとんどの学生は徐行運転程度で、一部の「就活マッチョ」な人がせいぜい法定速度内、「スピード狂」と呼ばれるくらいリスク取って挑戦する学生は滅多に見かけないな〜 だからこそ希少価値があるのかもしれないが、周囲と同じ速度で走らないとむしろ危険、というアナロジーから考えると、日本では法定速度内のリスクが妥当で飛ばし過ぎは危険、逆にアメリカ西海岸だと飛ばさないと危険でとろとろ走っていると危ない、そんな感じなんだろうと思った。
池田信夫 blog の「就活はハイリスク・ノーリターン」のコメント(ナベさん)が参考になる。
有名人の方は「海外に行け」とひたすら連呼しますが、実情を知らなさ過ぎです。米国留学しても現地で就職できてるのは韓国人、中国人、日本人皆5%にも満たないなどの現状をご存知でしょうか?東アジア人が現地留学したくらいで北米やヨーロッパで就職先とVISAとるのは至難の業です。
[中略]
新卒ではいることをローリターンと仰っていますが、海外に出るとしてもまずは新卒ではいるほうがはるかに合理的な手段です。国内企業でスキルと英語を磨いて、応募する方が圧倒的に海外での仕事が多いですし、日本企業の方が勤労意欲と労働者のサービス精神が強いので、ここでまず鍛えられた方が後々強みになります。英語を身に付け、海外にどういうキャリアがあるか調べておくことは賛成ですが、(留学はその一助になりますが)新卒で日本企業入るのはむしろ海外に渡るために一番効率の良いステップになることは学生の立場にたったらわかると思います。
自分もこの意見には賛成だなぁ。日本は住みやすいし、みんな勤勉だし、そんなに悪くないと思う。日本で働いて世界に通用するサービスなり製品なりを作る、という気持ちで仕事すればいいんじゃないかな。
ちなみに海外就労適性診断テストがおもしろい。自分は75点だったが、みなさんはどうだろうか (笑)