限られた時間の中でできることをやっていく

午前中は共同研究のミーティングのためNTTへ。やたら暑い。

なぜやったかをすっ飛ばして何をやったかしか説明しない、というのを最初はやりがちだが、研究で大事なのは後者ではなく前者なので、ちゃんと自分の言葉で説明できるようになるのは重要だなぁ。自分も意識して論文が書けるようになったのは最近である。「人のふり見て我がふり直せ」とは言うが、なぜやったのかが弱い論文を査読すると、せっかく個々にやっていることがしっかりしていても残念な気持ちになるので、自分でも気をつけようと思うようになったのである。(企業の人の研究で、たぶん仕事上の制約からこういうデザインになっているのだろうな、とか、同情するときもあるけど)

あと、自分もよく1対1で話していて気がついたら数分間だんまりになっていることがあり、自分としてはいろいろ考えていて何も言わない (言えない) のだが、「黙っていられるのは本当にストレスなので、考え中だとか、今は答えられないだとか、何か言ってほしい」と複数人から複数回お叱りを受けたことがあり、(特に電話のときは) できるだけいまなぜ口を開けないのか説明するように努力するのだが、なかなか難しい。

結局、複数人でディスカッションしているときは、何か説明して間違っていても全然問題なくて、周りの人が直してくれるので、一番よくないのは何も言わないことだと思う。少なくとも、「いま考えているところです」だとかなんだとか、なにかしらの口を開くのが大事である。

研究室に戻ってきて、仕様書の最終確認。何回最終確認をしているのか、という感じだが……。ものすごく時間を取られているのだが、報われる日が来るのだろうか。

午後はM1の人たちとのミーティングx2。これから研究室内の合宿に向けて毎週1回ミーティングをして研究を進めていくわけだが、やはり6-8週間くらい使えるとそれなりのことができるように思う。なにより、事前に何をやるのか準備しておいたり、必要な知識は身に付けておいてもらったりと、仕込みが大事である。基礎知識の習得からやると、とんでもなく時間がかかるので……。

ポスドクをするなら・・海外行くなら・・を見て、確かに今やかなりの分野で日本が海外 (アメリカ?) と比べてとても遅れているわけではないので、日本でじっくりやる、という選択肢も十分現実的だと思う。学部生のころは、なんでもかんでも海外のほうが進んでいると考えていて、研究するなら海外に行くものじゃないの、と言って友人に「少なくとも自分の専門分野は日本に世界的に見てもトップレベルの研究グループがある」とたしなめられたころがあったが、ものを知らないというのは恐ろしいことであった。

また、以下の部分はハッとする。

アメリカ、ヨーロッパ人で学位取得直後の方、数名に尋ねたことがありますが、ポスドクをするなら、大きなラボより、小さくても、若くて、勢いのあるボスのしたでやりたいと皆が答えました。それは、一発当てられる可能性があるからだとのことです。

これは海外だろうが日本だろうが変わらないと思うが、大きくすでに定評の確立したラボより、小さくても若くて勢いのあるところのほうが、研究者人生を長く見てあとあと考えると成長できる、というのは納得である。当然一山当てられないリスクもあるわけだが、鉱脈があると思ってもないことは研究の世界ではよくあることなので、他人の評判より自分の嗅覚を信じたほうが、失敗するにしても糧にできるのではないかな。