来年度以降の NAIST を憂う若手の会

午前中言語教育勉強会。来週月曜日が〆切のようなので、コメントをしたり赤を入れたり。書いては消し書いては消ししていくと段々収束するのである。@ymatsuo さんの 論文の書き方英語論文の書き方は必読。自分は「英語論文の書き方」のほうの人工知能学会誌の記事になったもので知ったのだが、冒頭を引用してみるとこんな具合。

日本から投稿される情報系(特に人工知能、Web等の分野です)の論文は、主要な国際会議にほとんど通りません。研究者人口や研究費の額を考えると、国際コミュニティにおける日本人のプレゼンスは非常に低いです。この一番の理由は、論文の完成度の問題です。私の知る限り、ほとんどの論文が十分に完成度が上がらないまま投稿され、その結果として不採択になっています。一般的な国際会議では通ることがあっても、グレードの高い国際会議に完成度が低い論文が通ることはまずありません。完成度が上がらないこと、これが日本の情報系の論文が海外で通用しない最大の理由です。

研究の内容自体は、ほとんどの場合、問題ないです。たとえば、私は、人工知能学会論文誌に載るほぼ全ての論文、そして人工知能学会全国大会で発表される論文の3分の1は、きちんと書けばAAAIに通ると思います。(AAAIは人工知能の分野で最もレベルの高い国際会議のひとつです。)日本の情報系の研究は面白いものが多いです。英語論文を読んで、こんなのが通るの?と思うことが良くあると思いますが、裏返せばそれは、日本の研究のレベルの高さ、そしてそれを補って余りある(?)プレゼンテーションのまずさを意味しています。日本から投稿される論文の多くは、中身の勝負に行く前に門前払いされてます。ここでは、中身の勝負にもっていくために、論文の完成度を上げるとはどういうことか、どのように論文を投稿していけばよいかを説明しています。

ちゃんと論文を書く、っていう手順を一度やっておかないと、いつまでもやっつけ仕事で論文を書いてしまうし(いや、ちゃんと書いた経験があってすらやっつけ仕事で書いてしまうこともあるのに……)、学生で時間があるうちにこういうのに取り組んでおくとよいと思う。

午後、@shirayuくんの研究相談に乗っていたら、どうも勉強会でも進捗報告が当たっていたらしい……。上記の書き方は国際会議の論文だが、修士論文も基本的に同じで、とにかく全体をひとまず完成させてからが本番なので、まずスタイルファイルを取得して、埋められるところからどんどん埋めていく、という作業をするしかないのである。

とかく「一発で他の人に見せて恥ずかしくない完成稿を書きたい」とか「書き直したのが全部削られるのは嫌だから削られない原稿を書きたい」と思いがちだが、論文ってひたすら書いてばっさり削る、ということの繰り返しで収束していくものだし、書くスピードは書いているうちに上がるから、「ああ、せっかくこれだけ書いた(こんなに実験した)のに」と思うことはあるかもしれないが、全体のストーリー次第では削るほうがよい内容もあるし、最初から完璧を目指すより、削る速度を上回る速度で書くほうがいいんじゃないかな〜。

(何回かそれを繰り返すと、執筆の前にちゃんとストーリーを作ることの大切さが分かってくるし、もっと言うと実験の前に何を調べれば論文のストーリーになるのかが分かってくる)

午後は研究会だったが、1人しか発表者がいなかったので1時間で終了。今年度の研究会はこれで終わりのようである。というかもう来年度の計算機とか座席とか考えないといけない時期なのか……。

夕方、「2011年第一回 情報(を中心とする)若手の会」に参加。NAIST情報科学研究科の助教の人+αな方々に連絡が行っているらしい。あまり大学で研究室を超えた横のつながりがないので (Twitter にいる人くらいか?)、こういう場には参加することにしている。

学長通信の話題を最初から最後まで引きずったが、みなさん読むにせよ読まないにせよ一言言いたいとは思ってらっしゃるのね……(笑)

場所は富雄の楽酔(らくすい)というところだったのだが、こんなところよく見つけられるなぁ、と思った。研究室の忘年会や歓送会の店をどうしているのか、という話題もあったが、学生に決定権があるかスタッフかで違うような気もする。

いままで全く同じ店で忘年会も歓送会もしたことがないのだが、「ここはよかった、また来たい!」と思うような店がないからなのか、「もうここは止めてほしい!」と憤慨するような店でやるからなのか分からないが……

しかし来年度以降 NAIST どうなるんだろうなぁ〜。4月以降も奈良に留まる助教の負担が増えることは確実だと思うが、教授陣も一斉に退任される時期なので、一時的にこうなるのは仕方ない。転機をチャンスにしてさらに進化できるといいのだけどな〜。