日本の文化を伝えるマンガ

久しぶりに漫画の紹介でも。最近本屋の「奈良の漫画」コーナーで見つけたのは「メッシュ!」

メッシュ!!(1) (KISSコミックス)

メッシュ!!(1) (KISSコミックス)

という漫画。内容説明から引用するが

超引っ込み思案の一花は、大好きな仏像や寺院の勉強をするため、生まれ育った島を離れ、ひとり奈良の大学へ!

ということで、実はこれは奈良大学が舞台の本なのである。たぶん奈良県以外の人は分からないと思うが、奈良大学というのは実は私立大学で(国立大学どころか県立大学ですらない)、文学部と社会学部の2学部からなるほぼ単科大学であり、「文学部文化財学科」が看板の大学なのである。

ちなみに、奈良の国立大学と言えば奈良女子大学(日本に2校しかない国立の女子大学の1つ)と奈良教育大学があり、公立大学奈良県立大学(「地域総合学部」という観光のための単科大学)と奈良県立医科大学があるのだが、国立の総合大学はずっと存在せず、奈良先端大を作るとき京大と阪大が中心になったので京都に作るか大阪に作るか綱引きがあったらしいのだが、そこに奈良がやってきて、奈良に総合大学がない京都(京大がある)と大阪(阪大がある)が不憫に思って奈良に譲ってくれた、という話を聞いたことがある。まあ、立地的には大阪まで1km、京都まで4kmなので、大阪でも京都でも奈良でもどこでも変わらない気はするのだが、奈良という名前を冠しているのは結果的に奈良の宣伝のためにはよかったのだと思う。(理研は埼玉の宣伝になっているのだろうか?)

話を戻すと、「メッシュ!」は奈良の文化財の発掘がどういうふうにされているのか書いてあるので、いろいろ勉強になった。漫画としては微妙だが……。なんかこの絵は見たことあるな、と思ったら、「ホーム スイート ホーム」

ホーム スイート ホーム (KC KISS)

ホーム スイート ホーム (KC KISS)

の作者さんと同じだった。こちらはならまちが舞台で、けっこう好きな漫画であった。むしろ個人的にはこちらをお勧めしたいが、こちらが読み切りなのに対し、「メッシュ!」はまだ1巻が刊行されたばかりなので、今後に期待である。

あと最近読んで表紙買いしたのは(これまた生駒のジャパンブックスでお勧めされていたからだが)「ぎんぎつね

ぎんぎつね 1 (ヤングジャンプコミックス)

ぎんぎつね 1 (ヤングジャンプコミックス)

である。一言で言うと神社マンガであり、ほのぼのとした神社の中の生活にファンタジーやら学園ものらしさがぽつぽつと入っていて、割になごめる作品である。

神社というかなんというか、天狗の話ではあるのだが、最近いちばん好きなマンガは「町でうわさの天狗の子

町でうわさの天狗の子 1 (フラワーコミックスアルファ)

町でうわさの天狗の子 1 (フラワーコミックスアルファ)

である。主人公の女の子が天狗の娘(なので怪力が使えたり動物と喋れたり)であるという設定はありがち(?)なのだが、そこから著者の非凡なところは、村の人全体がそれを知っている、というところである。携帯電話を使ったり、日常の学生生活を過ごしながら、天狗ではない一般の男子を好きになったりつき合ったり、そういう生活が破綻せず、ウッと涙ぐんでしまうようなエピソードもあり、淡々と日常が過ぎて行く、そういう話がとてもすばらしい。

岩本ナオの作品は何回かこの日記でも取り上げたが、彼女は天才だと思う。(とはいえ、かくいう自分もこの作品自体は5巻くらいまで読んでようやくはまってきた)

最後にこれも最近少しずつ調子が上がってきたマンガとしては「花よりも花の如く

花よりも花の如く (1) (花とゆめCOMICS)

花よりも花の如く (1) (花とゆめCOMICS)

がよい。成田美名子の作品は「ALEXANDRITE」や「CIPHER」が好きで繰り返し読んでいるのだが、「NATURAL」以降はいまいち好きになれず、このシリーズも惰性で読んでいたのだが、現在刊行中の8巻くらいになってようやくおもしろみが分かってきた。このシリーズのテーマは「能」で、能役者の主人公がいろいろ生き方に悩みながら演じていく、という内容。1巻目の刊行は2003年で、出る度に(少しずつ遅れながら)買っていたのだが、最近これがおもしろく感じるようになったのは、自分も働き始めて境遇が変わってきたからかもしれない。

こういう日本文化的なものがマンガで取り上げられると嬉しいですな。こういうのを読んで興味を持つ子どもが増えてほしい(割と子どもはマンガにも影響されるものだし)。自分に子どもができたら本棚いっぱい好きなマンガを読ませてあげたいものである (笑)