言論マッパーは永遠なり

午前中、東大から言語モデルの使い方について教えてほしいという先生方の来訪あり、どういったタスクで使いたいと思っているのか聞いたりして、こんなツールやAPIでできますよ、というお話をする。いろいろとおもしろい用途に使われているのだなと思うが、こういうふうに「言語処理駆け込み寺」ができるとおもしろいかもなぁ。「◯◯駆け込み寺」のアイデア

大学教授という仕事

大学教授という仕事

に出ていたのだが、こうやって少しでも自然言語処理が他の分野の人たちにも貢献できると嬉しいものである。

今回来た方々は教員の方々だったが、なんだか

すべて僕に任せてください―東工大モーレツ天才助教授の悲劇

すべて僕に任せてください―東工大モーレツ天才助教授の悲劇

を思い出してちょっとしんみりしてしまう。この本は先日「理工系離れ」に関する本を紹介したときに別の方にお勧めしてもらったのだが、最初てっきり東工大で働いていた著者の自伝なのかと思って読み始めたら、東工大で働いていたときに採用した助手の人(その後助教授になった)の話であり、教授から見た同僚(部下)としての助手というのがどういうものなのか、と深く考えさせられるものであった。

ちょっと関係者が登場し過ぎているのが(他人事ながら)気になるし、東工大内のドロドロとした政治的内情をいろいろ書かれているのがなんともいえず、参考にはなるのだが、いかに研究だけを純粋にしたいと思っていても、政治的な動きに反目しているとひどい目に遭いますよ、という今風の言葉で言えば上から目線の忠告の本なのだが、東工大・筑波大・東大・一橋大など大学院重点化されている伝統のある研究大学で生きることの面倒くささ、というのを知るとかなり引く。奈良先端大だからこんなに(学生としてだけではなく、教員としても)過ごしやすいのだろうが、東大は学生としてもあまりいい環境でなかったと思うが、教員がこんな扱いを受けていたらそれは面倒見のよい教育もできないだろう、と納得。(たぶん東工大など他の大学が悪いわけではなく、どの大学も似たような感じで、奈良先端大だけ飛び抜けていい環境なのだと思うが……)

午後は GPGPU 実習のミーティング。サーベイしてもらった報告を聞いたり、参考図書を渡したり、どこをどうプログラミングすればいいかという話をしたり。お盆を挟んだので1週間空いてしまったが、実習先週スタートしたばかりだったので、もう少し頻繁にミーティングしたほうがよかったのかもしれない(時期的な問題で無理だったけど)。

夜は kmurakami さんの送別会。新大宮のすぎ乃というおでんや。さすが言論マップグループのお眼鏡にかなうお店、日本酒がうまい。打ち上げのときだけでも参加すればよかった (笑)

実は明日も研究室全体の送別会なのだが、たぶんそのとき人気者の kmurakami さんは引っ張りだこだろうから、としっぽりお話してみたり。あとは東北大学の乾研究室に行った方々と近況どうですかと聞いてみたりなど。NAIST情報科学研究科(is)なので楽だが、電気系の学科が母体になっているところは授業だとかなんだとかいろいろ大変らしい。実は松本先生も京大では電気系の教員だったそうで、「この中からどれか選んでください」と言われて出されたテーマ全部無理で、一つだけ言語設計の授業があって大学院時代に言語設計の研究をしていたので「これをやらせてください!」と頼み込んでそれをやれることになった、という話を聞いたのだが、自分も回路設計の実習担当して、と言われても自分も無理……。

ちなみに電気系かどうかはサブドメインに e が入っているか i が入っているかどうかで見分けられるようだ。東大の情報学環サブドメインは iii なのだが、これを越える i な研究科は登場しないであろう (笑)

あっという間の2年半だったが、研究室の学生みんなにとってこんなにいい兄貴分だった人がいなくなるのは大きな損失である。「NAIST に来るときはみんながハッピーになれるよう『総務課』になろうと思った」とスピーチされていたが、なんでもできる人というのはそうそういるものではないし、「縁の下の力持ち」というか、乾先生がぐいぐい陣頭を引っ張って、一番後ろから学生も含めて全員面倒見るよ、みんな脱落しないで最後までやろうな、と全力で押していた kmurakami さんはすごい人だと思う。

たぶん新天地でもこうやって縁の下の力持ちを続けて行かれるのだろうが、新しい環境でも kmurakami さんと一緒に働くことができる人は幸運である。まだまだ日本酒の愛で方を教わり尽くせていないので、またちょくちょく教わりに行きたいものである (笑)