田中穂積先生の思い出

こちらにも報道が出ている(自分は各地の学会のメーリングリストで知った。あとから Twitter で検索したら自分より数日先に知っている人がたくさんいたようで、びっくり)が、JAIST の田中穂積先生が亡くなったそうだ。

自分が研究室外で初めて研究内容について話したのは、「田中先生の教え子たちが集う会」(その後国内の自然言語処理系の大学が合同で学生に研究発表させる大学合同研究会に統合された?)で、そのときから教え子たちが集う会で発表したら毎回どこかで回ってこられて、参加者全員にコメントをされていたのを思い出す。

自分がよく覚えているのは「この手法もいいかもしれないけど、これでもエラーはあるよね。実際のエラーはどんなのがあった?」というコメントで、毎回このコメントは1回は言われていた気がする(なのでそれからエラーについても意識して調べている)。工学的アプローチだと、実際解けたものよりは、解けなかったものの中にどんな問題があって、それはどうやれば解決できるか、そういうことが重要であり、エラーを見ながら少しずつでも前進していくのが大切なのだな、と思う。

40年以上そうやって研究に従事されてきて、日本の自然言語処理研究の基礎を着実に築かれてきたのは、強い意志がないとできないだろうなと思う。今年からあの田中先生のコメントがもらえないのかと思うと悲しい。ご冥福をお祈りします。