買ってはいけない大学院生物語

昨日紹介した本を Amazon で注文したときにお薦めされた

大学院生物語

大学院生物語

を読む。かいつまんでいうと、分子生物学系の研究者から見た日本の研究所の風景(たとえばジャーナルの投稿とか大学院生の指導とか科研費の申請とか)を小説風に書いた、という様子なのだが、これは駄文の領域だと思う。Amazon のリビューでは高い評価(21人で4.5)なのだが、自分には理解できない。ほとんどの人が(肯定的な評価の)コメント1つだけだし日付も近いので、著者か出版社のサクラである可能性も否定できないが……

不満に思うのは、青春小説と書いてあるが語り口がどう見ても40代以上で青春でもないし(「さしずめこれは○○というドラマの××という役のようなものであるという表現が、そもそもそのドラマを知らない人にはなんのことだか全く分からないし、それをフォローするわけでもなく、非常に不親切。まあ小説だから書きっぱなしでいいのか? 文章自体もひどいものだけど)、小説と言うよりはエッセイに近く、エッセイというよりは愚痴に近い。書名も「大学院生物語」ではなくどう見ても「独立法人研究所研究員物語」である。こんな駄文を「全ての理系院生必携」などと推薦する人の気が知れない(販促のためにやっているんだったら納得だけど)。

こんな本を読むなら(そもそもこの本だけが研究者の生態について書いてある本ではないし、それは Amazon の書評でみなさんが書いている「事実」と異なるわけだが)、先日取り上げた

を読んだほうが100倍ましである(ブルーバックスも文庫も安いし)。久しぶりに気持ち悪い書評を見た……。誰か Amazon でサクラのコメントを自動で検出してフィルタするプログラム書いてくれないかなぁ。