台湾周遊記5日目・台湾語の町、楠梓

今日はもともとは高雄から台南まで汽車で行く予定だったのだが、Andreaが学校の授業は午前中で終わるので午後休暇を取ってくれて台南まで来るまで連れて行ってくれる、という話になったので、高雄から駅4つほど離れた楠梓(Nanzih)で合流することに。

合流まで多少時間があったので、前日行こうと思って行かれなかった澄清湖に向かう。バス停で待っていると台湾語で突然喋りかけられて焦った(どうもそのバスがある停留所に止まるかどうかを訊いていたようなのだが)。そもそも台湾に来て現地の人だと思われたの初めてだったし。思わず台湾語でなく北京語で答えてしまった(台湾語分かる人が北京語も分かるとはかぎらない)が、分かってくれたらしい。

この湖、蒋介石が作った人造湖らしいのだが、景色がきれいなことで有名で、多少楽しみにはしていたのだが、着いてみるとなんといま水質改善工事中で水が干上がっている。いったいなにをしに行ったんだ :-( 往復のバスの車内で地元の人の会話を聞くのがおもしろかったからいいか。

そんなことをしているとどうもバスが遅れてAndreaに指定された電車(今回は電車。)の便を乗り逃がす。1本あとのものは1時間後だったのだが、遅れると電話をして待っていてもらう。

楠梓で彼女と合流し、台南へ。台南へは高速道路を使えば40分くらいらしいのだが、なぜかこの日は平日なのに高速で渋滞して1時間半くらいかかる。

台南では億載金城(Eternal Golden Castle)という要塞と安平古堡(Old Fort of Anping)という城址を見る。台湾はもともとほとんど人が住んでおらず、17世紀以降ヨーロッパ人は台湾南部から開発を始めたので、台南は古い文化のにおいがする町。建築物も美しいものが多く、荒っぽい人もおらず、成熟された町並みである。

しかし台南は無茶苦茶暑く、食事がほとんど喉を通らない。実は高雄を出る前ホテルで6時半に目が覚めて、お腹がごろごろしたまま朝寝ができず、気持ち悪くなって吐いてしまったので、もともと体調が悪かったのだが、この日は30度を超える暑さでほぼグロッキー状態。それなのにAndreaがたくさん食べ物を買ってくれるのと、たくさん場所を回ろうと急ぐのでかなり参ってしまう。最後はちゃんと合わせてくれて、ゆっくり木陰で休みながら見て回れたので回復してきてよかった。

遺跡を巡ったあと、台南でAndreaがいちばん好きな本屋に案内してあげる、というので、連れて行ってもらう。8時になったら電話してね、それまで自由に見て回っていいよ、というのでいろいろ見る。英語の本や日本語の雑誌がものすごい量ある。あとでpalatisに訊いたところ台南でいちばん大きな本屋だからそうなだけであって、普通町にあるような本屋だったら繁体字の中国語で書かれた本しかないよ、ということであったが、けっこうびっくりした。

コンピュータコーナーに行ったらGentooの本が置かれていてこれまたびっくり。けっこう分厚い本で、2004年の3月に発行されている。著者を見ると知らない名前の人なので、これも日本で言えば「はじめてのGentoo Linux」のような感じで発行された本なのかな?(発行の時期的にも同じ)

2時間じっくり本を読んだり(椅子があちこちに置いてあるし、坐りこんで読んでいる人もいっぱいいた)背表紙を眺めたり、じゅうぶん堪能したので Andreaに電話しようとすると、電話カードをバッグの中に入れ忘れていたことに気がついてものすごく焦る。電話番号自体はPHSに入っているのだが、台南はサービスエリア外なのだった。「困ったことがあったら本屋のレジに友人がいるから、その人のところに行って。彼女は英語できるしすごくいい人だから助けてくれるよ」とその人の名前を書いたメモをもらっていたので、その人のところに言って事情を話して電話をかけてもらって合流できたが、メモもらっていなかったらやばいことになっていたかも。まあ、そのときはセブンイレブンを探して電話カードを買ってかければよかったわけだが……。

そのまま自分はAndreaに連れられて彼女の家に。今日は彼女の妹さんが台北に行っているので彼女の家に泊めてもらえることになっているのだ。

彼女の家に着くとまず彼女のおじいちゃん・おばあちゃんにご挨拶。家は歩いて30秒くらいしか離れておらず、毎日来るらしい。彼女のおじいちゃんとおばあちゃん、戦時中に日本語教育を受けたので日本語が喋れるそうで、Andreaも「普段はわたしが学校の友だちとなにしようとなにも言わないのに、今回だけ『日本からの友人は今日来るのか、明日来るのか』って言うから、悪いんだけど日本語で喋ってくれない?」と言っていたので、いくつか日本語で会話する。日本語を習ったのは60年前だそうだが、思い出しながら喋れるそうで、日本のご飯について話しながら夕飯をごちそうになったり。

そのあとはAndreaがシャワーを浴びるというのでAndreaの家に戻り、今度はAndreaのお父さんと英語で喋る。自分の父がいま中国語を独学で勉強しているように、Andreaのお父さんは英語の勉強を映画を見たりして自分でしているそうで、ときどきAndreaと英語で喋ったりして英語の練習をしているらしい。Andreaのお父さんに中国茶をふるまってもらいながら2時間くらい雑談。中国茶すごくおいしいなあ。コーヒーは飲むとときどき胸が痛くなったり気持ち悪くなったりするのだが、中国茶は熱い以外はそういうことなさそう。ファンになったかも。

Andreaがシャワーから出たあと自分もシャワーをもらい、妹さんがいないAndreaの部屋でいっしょに寝た。というわけはなくて、彼女たちの部屋を見せてもらって(広い!妹さんと同じ部屋らしいけどとにかくベッドがキングサイズだし広々)、自分は子ども部屋で寝かせてもらう。蚊帳を使わないかとさんざん言われたのだが、小学生のころ蚊帳を使っていてものすごく面倒だったのをおぼえているので、かまれてもいいから要らない、と断ったところ、夜ものすごい数(10匹以上)の蚊に襲われる。病気に罹ったりしなかったからいいものの、蚊帳使っておけばよかったかなとちょっと後悔した。