二番手の会議の方がいい査読

今日は大学院の修士の学生(M1/M2)の3研究室(山口研・高間研・小町研)合同の公開期末評価。去年から、M1/M2 ともに公開期末評価は全研究室合同のポスターにする、という方針になった(博士の学生は口頭とポスターは選択制)のだが、さすがにこの状況でポスターは難しいということで、全て Zoom によるオンライン口頭発表。とはいえ、我々のグループは情報科学の研究室の中でもとにかく人数が多いので、発表8分 QA 4分にしても、10〜16時までびっしり詰まっている。

発表自体は実際に集まってやるのと比べてスムーズなところ(端末をつなぎかえる手間がなく、座る場所で聞きにくい・読みにくいといったことがない)と、ちょっと難しかった(残り時間を知らせるのに、ホストが画面に書き込むことで通知)ところとあるが、口頭発表に限るなら、ほぼ同等あるいは対面でやるよりこちらの方がスムーズなように思う。QA は(副査の顔が見えないので)ホストが順番に指名しないといけないが、逆に QA がヒートアップして無闇に長くなるということもないし、QA で意図が分からなかったことがあってもクラウド録画したものを見られるし。

もっとも、我々としてはポスターで対面でやる方が、口頭でオンラインよりいいと思うのだけど、この状況ではなかなかそうは行かない。対面のポスター発表は、もう5年くらいは戻らないのではないかなあ。そして、もし仮に(アクリル板で発表者と聴講者を分けるなどして)再開できたとしても、それはポスター「発表」部分がなんとか実現できるだけで、学会でもポスター発表に参加する時間の2/3くらいはポスター発表会場にいる他の人と雑談したりするところに意味があり、そこの部分はしばらく失われて戻らないのではないかな。高齢者などリスクの高い人の重症化を防ぐワクチンができたら、インフルエンザのように健康な人が感染するリスクは許容する行動様式に戻っていく可能性はあるけど、結局スーパースプレッダーになりそうな人にワクチンを打たないと意味がないわけで、我々が小学生の頃インフルエンザの集団予防接種をしていたように、若者が集団予防接種できるようになるまで変わらない気もする。

夕方は論文の査読のやり取りや、新しい査読など。数えてみると月末までに13本査読をしないといけないことが分かり、2週間しかないので、計画的に読む必要がある。本当はもっと新しい査読を進めたかったが、既に査読を終えていた(そして著者からの反論も揃った)論文についてのディスカッションがあったので、新しい方は終わらず。

しかしここ数年で国際会議の査読の質がだいぶ変わったように思う。トップ会議の方が質の良いコメントがもらえる、という前提が崩れてきて、実は 2nd tier の国際会議(あるいは分野外の人は投稿を考えないが、その分野の人は知っているような会議)の方が親身なコメントをもらえる気がする。もちろん本当に良いコメントはトップ会議の方が得られるだろうけど、投稿数を捌くためにたくさんの査読者を入れる必要があり、そのようなコメントをできる査読者に当たる可能性が下がってしまい、「査読者ガチャ」に成功しないと有益なコメントが得られないのではないか(採択されるかどうかとは別の次元の話)。