オンライン聖徳太子のようになる

今日は在宅勤務で、午前中は大学院の自然言語処理の授業。ニューラル機械翻訳の話に入ったが、学生のプレゼンテーションを冒頭に20分強入れたので、課題ができるくらいの内容を話そうとしたら、ボリュームがあって大変だった。

この授業、例年(といってもここまで隔年開講だが)自然言語処理を用いた企業を起業すると仮定して事業計画書(スライド)を作ってプレゼンテーションしてもらっているのだが、言語処理の内容についてではなくビジネスモデルや費用について書かせるのは(ビジネスモデルや費用について教えているわけでもないし)授業の趣旨と違うのでは、とコメントいただく。確かに書き方について教えていない、というのはその通りで、ありがたいコメントであり、少し教えたほうがいいのだろうか、と思わなくもない。

この課題の意図としては、実は自然言語処理はマネタイズが悩ましい分野で、これをやってお金が儲かる、というような攻めの営業はなかなか厳しく、これまで人手でやっていたこの部分が自動化できてこれくらいコストが下がります、みたいな技術が多いので、自然言語処理でお金を儲けるのは難しいですよ、というのを体験してもらいたいのである(自分の学んでいる技術はどれくらいお金払ってもらえそうかを意識してほしい、ということ)。ほとんどの技術はまともな精度が出ないのでほぼ使えない、ということは講義パートでそれなりに説明しているので、それと合わせて考えてもらう、ということと、あえて何週にも分けてプレゼンテーションしてもらうことで、これまでのグループに対して行ったコメントを含め、じっくり考えてほしい、というのもある(そのため最初のグループはうちの研究室の学生たちにして「サクラ」のように発表してもらっている)。

ほとんどの学生は企業にソフトウェアエンジニアとして入るのだろうが、そこでも新しいプロジェクトを立ち上げるときに上司や周囲を説得してお金や人員をつけてもらったり、スケジュールを策定したりするだろうし、少し中期的な計画を立てる練習をしてみては、と思っているのである。(博士後期課程に進学する人は、学振の研究計画書を書くことでこういう練習ができるのだが、そうでない人は、目の前の論文を書くだけでは練習する機会がないと思うので)

午後は学科会議と基礎教育部会。学科会議が先にスタートして1時間後くらいに基礎教育部会がスタートしたのだが、実質的な議論がたくさんなされる学科会議と異なり、基礎教育部会は基本的に ROM というか委員長でもなければこちらから発言することはなく、ほとんど委員長または事務方の方々からの資料の読み上げに近いので、イヤホンを2組用意して、右耳は学科会議、左耳は基礎教育部会に参加することにした。混線するかと思ったが、基礎教育部会はこちらから発言することがなく、顔出しオフ・音はミュートにしていればよいので、割と問題なかった(どちらの会議も配布資料があったので、少し聴きそびれてもリカバーできるのも大きい)。

注意点としては、用意した iPhone のイヤホンは右耳側のコードにマイクがついているので、(画面としては物理的には左側にあったが)発言するために右耳にしなければならなかったことと、Zoom は1アカウントは1つのミーティングにしか出られないので、別のアカウントでサインインする必要があったことである(そもそもアカウントなしで参加すればいいのかもしれないが)。あと、片耳は AirPods Pro でノイズキャンセリングがついていて、片耳だけノイズキャンセリングだとかなり違和感があるので、ノイズキャンセリングをオフにした。両耳塞がれているときにインターホンまで鳴ったりしたが、さすがにそれは玄関に出られなかった。

学科会議は2時間ほどで終わったが、基礎教育部会が1時間半くらいかかり、しかもその後に日野の教員は残って南大沢の教職員と打ち合わせをしなければならなかったので、保育園のお迎えに間に合うかどうかヒヤヒヤする。システムデザイン学部の教員としては、いくらでも言いたいことはあるのだが、言い過ぎてお互い気分悪くなっても意味がないし(必要な仕事を、できる範囲で気持ちよくやりたいわけで)、お互い妥協できるところで妥協したいと思うのだが、平行線でタイムアップ(日野側は学生第一で考えているのに対し、南大沢側は教員第一で考えていて、それぞれの立場も分かるし、こちらからは学生にも教員にも負担の少ない案をいくつか提案してお願いするしかないのだが)。ちなみに、こちらの打ち合わせではマイクを切り替えて何度か発言した。

お迎えの時間は残り30秒でギリギリセーフ。危なかった。