卒論を見れば大体分かること

今日は2週間ぶりに出勤する日。前回来たのは5月14日だったので、15日前である。

朝は研究室の学生と豊田駅前のイオンのスターバックスで待ち合わせて、国際会議の参加登録をする。教員の法人カードで立替払いをすると処理が楽なのでいつもそうしているのだが、今は学生はキャンパス内は原則立ち入り禁止で、立ち入る場合は前日までに申請しておく必要があり、早期参加登録の締め切りが5/31であるということを昨日の午後に聞いたので、外で会うことにしたのである。スタバもテイクアウトのみになっていたらどうしよう、と思ったが、ソーシャルディスタンスを取る座席配置になっているだけで、中で PC を広げることができたのでよかった。

その後、研究室に来て受験希望者と Google Meet で面談。今年は受験希望者に直接研究室に来て環境を見てもらうことができないのが残念であるが、こういう時期だけに仕方がない。NAIST は今週末にバーチャルオープンキャンパスだそうだが、NAIST を一度も見学せずに受験するリスクよりは、都立大を一度も見学せずに受験するリスクの方が、リスクは低いと思う(最寄り駅から歩いて20分かかる点は同じだが、日野キャンパスは駅からは平坦だし、駅前には色々お店がある)。

昔は受験希望者とは基本的に全員と会っていて、会うたびにほとんどの人に NAIST(特に松本研)をお勧めしていたのだが、最近はそういうのはほとんどなくなって、うちの研究室に問い合わせてくる人は基本的にはうちの研究室に来たい人(こちらからも特に NAIST をお勧めしなくてもよい)、みたいな感じになっているので、お互いちゃんとマッチングができるようになってきていて、よかったと思う。なぜそのようになってきたのかはよく分からないが……。

あと、今年からは卒論がある人は(何語で書かれていてもいいので)卒論を出してもらうことにした(留学生はほぼこのケースになる)が、卒論を見れば(分野が違ったとしても)大体論文が書けるかどうか分かるので、前からそうしてもらっていればよかった。この段階で書けなさそうな人はざっくりお断りできるので、かなり楽になった。研究計画書を書いてもらうと、わざわざ時間をかけて書いてもらったのに、少し見るだけで断らざるをえない、というのがちょっと申し訳なくて、どうせ断るなら追加のエフォートなしに断れる方が、精神的に楽なのである。もちろん、見事な卒論を書いている人も中にはいるわけで、その場合は研究計画書を出してもらっている。

研究計画書を出してもらう利点は、全然書けない人はこの段階でフィルターできる、あるいはものすごく書ける人はここで明らかに分かる、ということなのだが、そこそこ書けている人、というのが微妙で、誰かに添削を受けた結果そのようになっているのか(メールの日本語 or 英語と研究計画書の日本語 or 英語のクオリティがかなり違う場合がある)、あるいは何かベースになる研究計画書があってそれを参考にしてそうなっているのか(参照されている文献にほとんど英語のものがないか、そもそも文献を参照していない、あるいは参照されている文献や手法が総じて古い)、というのが分からないので、この場合は少し追加で質問をしたり、あるいは足りない点を指摘して書き直してもらっていて、これに対応できる場合は全く問題ないのだが(ベースがある場合はここで分かるので)、このインタラクションに若干オーバーヘッドがあるのが少し気になっている。ただ、実際は入学してから一緒に論文を書くときは同様のやり取りをするのだし、このようなやり取りがそもそもできない人は入学してもらっても一緒に研究しにくいだろうし、選抜に必要なコストかなとも思ったりする。

昼からはひたすら出勤しないと出せない書類を用意。学科長と学部長からスタンプラリーをしたり。あと、4月から使える予算は1つしかなく、いまようやく継続の科研費と合わせて2つ使えるのだが、合わせても100万円ちょっとしかないので、この金額までしか処理できないのが厳しいところ。例年だと6月になると少しずつ他の予算も配当されてくるのだが、今年は勤務体制もいつもと違うし、最悪8月くらいまでずれ込むのではないか、と思ったりしている。

出勤して最後の一仕事として、週末の年に1回の法定停電に合わせ、サーバ室の計算機の電源を落としてコードも抜く。教員立ち合いでないと学生がキャンパス内に入ることができないので、結局次に自分が出勤するタイミングでないと電源が入れられないのだが、月曜日は非常勤がある関係で日野キャンパスに来られないので、次来られるのは最短で来週の火曜日。サーバにリモートアクセスできるようにしないと実験が全部止まってしまうし、早く復旧できるとよいのだが……。あるサーバ、再起動すると立ち上がってこないので少し心配したが、どうも HDD がウォームスタートだとスピンアップしなかったようで、RAID のマウントで止まっていた。コールドスタートにしたら全部認識されたので良かったが、7年もののサーバなので、ちょっと心配。研究室に来て初めて買ったサーバなので、動いている限りは使い続けたいのだが……(研究室で初めて使い始めたサーバは NAIST で買って持ってきたものだったが、そちらはすでに廃棄済み)。

あと、新入生たちに研究室の Mac を送ったりする。これまでは基礎勉強会や研究が本格的にスタートしていなかったのだが、連休も明けて授業もスタートして色々本格化したところ、本学の VPN は Windows だと超絶使いにくいという問題があり(こういうところが都立大クオリティ)、Mac で使いたい、という声が続出したので、待機中だった Mac を順次送っているのであった(例年だと4月頭の研究室オリエンテーションで研究室の座席を決めることと同時に、Mac の分配をしているのだが、今年はいずれもできていない)。これで一応手持ちの(現在までに卒業生から返してもらっている)Mac は全部出払ったので、ここからは新しい Mac を買っていく必要があるのだが、上記の予算の問題があってなかなか予算繰りが悩ましい(予算がないという訳ではなく、年度始めに使える予算がないという問題)。