通訳ができないほどに進化した

午前中は古典論文紹介。これで一通り終わりである。

  • Alla Rozovskaya and Dan Roth. Generating Confusion Sets for Context-Sensitive Error Correction. ACL 2010.

首都大に来た当初(2013-2015年頃)は2010年の論文は特に古い印象はなかったが、今読むと深層学習以前の論文は深層学習以降の論文とかなり違う気がする。2017-2018年くらいに境目がある気がするのだが、パラダイムシフトというか、深層学習以前の世界しか知らない人と深層学習以降の世界しか知らない人はお互いに話が通じないのではなかろうか。科学哲学用語ではこういう状態のことを共約不可能性 incommensurability と言うのだが、まさにそういうことが起きている最中なのではないかと思うのである。

機械学習以前と機械学習以降の自然言語処理の世界も相当な断絶があった印象で、その断絶と比べるとまだマシな方だが、そのせいでむしろこれが連続的に変化していると誤認しそうな感じもする。自分は手放しに深層学習を礼賛する訳ではないのだが、警鐘を鳴らすだけでもなく、ちゃんと深層学習はツールとして使えるところは使うというスタンスである。

昼過ぎはサーバ管理。デモに使っていた計算機の調子が悪いのだが、かれこれ2回 RAID 部分が復旧できなくなっているサーバなので、嫌な予感がする。

午後はメール処理と学部教務のお仕事。来年度の時間割の調整を続けている。来年度は新組織の学生が日野キャンパスに来るので時間割が大きく変わるし、旧組織の授業の時間割が面倒くさいことになるのである。自分は来年度は学部教務委員の仕事はやらないだろうから、ここで自分の仕事が終わったらあとは知らんぷりを決め込むこともできなくないのだが、そういうことはさすがにできない……。