外に出て話すことから見えてくる

午前中は Skype で受託研究のミーティングに参加。正確には、自分はメンバーではなく、うちの研究室の学生がメンバーなので、自分はオブザーバーのような感じであるが。

それぞれの研究室の取り組みを知ることができ、また、うちの研究室の研究に関しても色々とご意見いただけてありがたかった。こういう外部の人との交流の機会がないと、内側に閉じこもってしまう危険性がある。まあ、閉じこもることはデメリット以外にメリットもあって、独創的なアイデアは閉じこもることで出てきやすくなる、という考えもある(奈良のように地理的に隔絶していることはむしろメリットだと思っていた)。

そして、日本の大学ではやはりうちの研究室が最大の機械翻訳の研究グループであることを確認した。ACL や NAACL、EMNLP に機械翻訳でフルペーパーを通すくらいしてからでないと、規模が大きいといってもレベルが高いとは言えないので、これくらいの研究グループが存在するうちにがんばりたいものである(ショートペーパーなら、すでに通せると思うのだけど)。

昼からは第10回入力メソッドワークショップに参加する。今回は LINE オフィスで開催させてもらい、新宿駅直結(バスタ側なので、南だが)でとても便利。

これは毎年東京と京都を交代で開催している入力メソッドに関するワークショップで、飲み会(懇親会)に併設して開催されているイベントである(ワークショップに併設して飲み会が開催されているわけではない)。言語処理関係者は歴史的に関西に多いし、入力メソッド開発者も関西に縁のある人が多いので、東京開催だとあまり参加者がいないという既知の問題があるのだが、なんとかうちの研究室から発表者を依頼して開催できた。定期的にやるようになってから10年経ち、入力メソッドに関する研究はそもそも当初からほとんど発表されていなかったが、少し関係するような内容ですら、研究的にはもう出てこないのかなぁと思ったりする。(一応今年の研究室の中では、入力メソッド関係の研究ネタを出したのだが、誰もやりたいと言わなかったので流れている)

入力メソッドに関するトークとしては、@zakki さんによる Mozc for Classical Kana Spelling があったのがよかった。これは歴史的仮名遣いで入力するために Mozc の辞書を作ったという話。自然言語処理的には、この話は「辞書を作った」と言うのが適切だと思うが(言語資源を作成することは高く評価される)、世の中的にはインパクトがない(ので、アルゴリズムを作ったとかシステムを作ったとか言った方が通りがよい)のだろうか。自分自身、松本研に行くまでは、辞書の作成のやり方も知らなかったし、松本研にいても辞書を適切に作れるようになったのは D2 くらいだった感触があるので、開発としてもなかなか難しいのではないかと思うのだが……

懇親会では中国の話を聞いたりアメリカの話を聞いたり、いろいろ勉強になった。最近はほとんど出歩いていないのだが、やはり飲み会に行くと世界が広がるし、学生には積極的に(発表して)懇親会に参加することをお勧めしていきたい。