午前中はメール処理と国際会議の原稿添削。今週末〜週明けに2本(〜3本)投稿予定なので、ちょっと優先順位を変えて対応している。今年度は到着順に見ることにしたのだが、これは教育的には意義があっても研究的には非効率なので、(卒論や修論など学生の単著の論文や、学生の何かの応募書類など)教育を目的としたコメントは到着順に、研究を目的としたコメントは必要順に返すことにした(後者に関しては、そもそも閾値に達していない原稿は共著での投稿を許可しないことにした)。
午後は情報処理学会全国大会での座長。高田馬場から歩いたのだが、その昔高文連という高校生向けの将棋大会が学習院女子短大で開催されたとき(25年前)、歩いて通った道であったのをふと思い出した。高1のとき全国高校将棋選手権で都代表として全国大会に出場したのだが、その後は鳴かず飛ばずで個人戦の成績は振るわず、結局将棋は趣味としてたしなむ程度になったのであった(大学に入ってからはそもそも指さなくなった)。全国高校将棋選手権では、東京都は団体戦の代表が麻布で、徳島開催で泊まったのは同じ部屋だったのだが、麻布の将棋部員たちが短い時間でたくさん指しまくって(当然ひどい将棋もたくさんあるが、圧倒的な数をこなすことで)強くなっていたのを見て、これは同じやり方をしていては敵わないな、と思ったのであった(武蔵の将棋部員は、持ち時間が数時間になるような長時間の将棋を指して感想戦もみんなでしたりしていたので、今となっては校風を反映しているように思う)。
早稲田の西早稲田キャンパス、高田馬場駅から歩いてすぐだし、歩くのも戸山公園を横切って行けばいいので、控えめに言ってかなりいいアクセスである。前に来たときはそんなにアクセスがいいと思わなかったが、(前に来たときは行きは新大久保駅から歩き、帰りは副都心線を使ったので、特に公園を通らなかったのか(汗)
情報処理学会全国大会自体は言語処理学会と共催していたこともあり、参加するのは初めてではなかったが、座長として全部の発表を見るのは初めて。今年は言語処理学会と完全に被っていて、自然言語処理の研究をしているならほぼ言語処理学会の方で発表するだろうから、あまり盛り上がらないのでは、と思ったし、座長なので事前に予稿(2ページ)を見ていて、正直発表に関する期待値は高くなかったのだが、話を聞いてみたら予想に反して普通だったので、びっくりした。自分が座長をしたのは自然言語処理の学生セッションだが、情報処理学会自然言語処理研究会の標準的な発表や、言語処理学会年次大会での標準的な発表とそこまで遜色ない(これはすごい、圧倒された、という発表はないが)。
特に驚いたのは、言語処理学会の裏なのに半分以上の発表が普通にアテンション付きの encoder-decoder モデルを使った研究をしていて、もう SVM ばりに普及している技術なんだなと思ったりする(TensorFlow/Keras が一番多いが)。気になったのは、手元にある文が数千文でも使っている(あるいは誰も train/dev/test と分けて実験していない)ことくらいで、こんなに短期間でみんな使うようになると思っていなかったのである。
セッション終了後、名工大の伊藤研究室の方々とお話ししたり。伊藤研では最近 argument mining の研究をしているらしいが、確かに最近 argument mining の研究がものすごく増えた気がする(ACL 2016 のチュートリアル、IJCAI 2016 のチュートリアルもあるし、ワークショップはもう4回開催されている)。NLP Applications 分野の area chair をやっていても確かに波を感じるし、以前は見かけなかった種類の研究なので、何かこれらの研究に対する大型研究プロジェクトが進行しているのではないかと思うのだが……。
あと、以前 NAIST にいたとき(助教のころ)に訪ねて来てくださった方に声をかけていただき(当時も社会人で、家庭の事情で NAIST に来ることはできないが、自然言語処理に興味がある、とおっしゃっていたのをよく覚えている)、久しぶりにお会いできて嬉しかった。これだけでも今日来た甲斐があった。奈良に来ていただいた方は、みんな大事な人たちだなぁ(東京に来てもらうのと、全然来てもらうハードルが違うので)。