長く続けてればいつか報われる

今日は第4回自然言語処理シンポジウム(情報処理学会第234回自然言語処理研究会=NL研)参加のために早稲田大学へ。かれこれ任期2年を2回、合計4年の研究会の幹事業務に従事してきたが、今回が最後でお役御免である。

朝に会場に行き、会場係の早大の菊池さんと雑談をする。もともと自分が自然言語処理の道に入ったのは、3回目の留年で暇になり、大学の先輩の紹介で国立国語研究所のプログラミングアルバイトを始めたことがきっかけなのだが、そこで従事した仕事は「日本語話し言葉コーパス」の XML 作成で、前任者の(Perlスクリプトを引き継いで完成させるのが仕事だったのだが、それぞれの元のデータがどういうデータか知らないと作業できなかったので、韻律データに関する相談をよくしていたのである。その後自分も NAIST に進学し、こうやって学会で再会するとは当時思ってもみなかったが、自分は色々と運に恵まれた(節目節目で色んな人に引き立ててもらってきた)のだと思う。

東京に来て企業の人からの相談がすごく増えました、というお話をしたところ、菊池さんのところも10年以上前からずっと対話の研究をしていたが、不遇の時代が長すぎて、こんなに問い合わせがあるのはここ数年の話ですよ、と教えていただいた。確かに自分も NAIST にいたころ、対話の研究には関わっていなかったし、東京に戻ってきてからも(ニューラル生成がそこそこ使えることが分かるまで)積極的に手を出すのはためらうテーマだったので、状況はよく分かる。

あと、うちの研究室にも早稲田出身の学生がいた(いる)し、毎年のように受験希望者がいるが、早稲田は色々エネルギーのある人が多くていいなぁ(正確には、エネルギーのある学生が一部にいる、ということかもしれないが)。

最初のセッションは岡山大の竹内さんがいつも通り質問されていて、月並みながらすごいなぁと感服する。NAIST 時代も含め、いろいろな大学教員を見てきたが、教授陣と准教授陣が明らかに異なるのは研究ど真ん中の発表に対するコメントの鋭さではなく、分野が外れていたりしても、あるいは少しトリッキーな発表でも、ちゃんと研究の文脈で本質的な(建設的な)質問なりコメントなりができることだと思っていて、竹内さんの質問はいつも参考になる。自分はまだまだだと思うことしきり。

NL研は我々が担当の最後の動画配信。どうも MacPowerPoint で配信がうまくいかないという問題があったのだが、デフォルトではプロジェクタをつなぐと(発表者ツールのアイコンをクリックしなくても、スライドショーにしたら)発表者ツールが常に起動されてしまうというのが原因だった。「環境設定」→「出力と共有」→「スライドショー」から「2つのディスプレイを使って発表者ツールを常に起動する」のチェックを外せばいい。本当に勘弁してほしい。

昼休みは運営委員会。特に特筆すべきことはないが、動画配信を来年度以降もぜひ続けてほしい、という意見を表明しておいた。そこそこ配信が手間なので、配信に価値を置くかどうかが続けるかどうかの判断に関係するのだろうし、もし配信の継続を希望する人は、来年の言語処理学会年次大会のワークショップ言語処理研究者・技術者の育成と未来への連携などで NL 研の主査にフィードバックしてほしい。

午後のセッションでは、これで最後かと思っていくつか質問をしてみたり。これまでは動画配信のときはほとんど動画にかかりきりだったので、ほとんど質問をする余裕がなかったのだが、割と余裕ができた。そういえば NL 研は昔は松本先生がほぼ毎回参加されて、前の方の席に陣取り、たくさん真摯な質問をされていたので大変よかった、という話を時々聞くのだが、自分も一参加者の立場になって参加するようになったら、そのような研究者になりたいと思っている。