質問で間合いを測る公聴会

まだ体調は万全ではなく、喉も痛いが、熱は下がってきたので出勤してミーティング。10月以降の研究室の座席マネジメントが問題。フルタイムの学生でも、毎日来ない人には座席を返上してもらうように考えている。それでも足りないので、教員の居室の一部を使ってもらうしかない気がしているが(今は秘書さんに使ってもらっているスペースも含め、もう一度レイアウトを見直す)。もはや学部生用のスペースを用意することすら困難になりつつある……。

B3 の研究室インターンシップ生が新しい MacBook を使いたいというので購入したのだが(※毎年 B3 に選んでもらっている)、セカンドマシン以外でこれを使う意義がない気がしている。CPU は非力で、画面が小さくプログラミングにも原稿執筆にも向いていないし、このマシンでなければ使えない環境で使うといった事情がなければ、特にお勧めしない(一応、それも説明したのだが)。研究室でも MacBook Air 11インチはもう購入していない(研究用途では小さい画面で生産性が下がることが致命的)し、他の端末でもいい場面でこれを使うと、研究成果に悪影響があるんじゃないかなぁ。

午後はインダストリアルアート学域の高田さんの博士論文の公聴会に出る。高田さんはネットワークデザインスタジオの所属で、情報科学科としてはインダストリアルアート学科のやり方(エネルギー?)を参考にしたいと思っているので、公聴会に参加しているのである。情報通信システム学域の(副査に入らない)他研究室の研究より、ネットワークデザインスタジオの学生さんたちの研究の方が自分の研究によっぽど近いので、ということもある(例えば前回の公聴会で聞いた原田さんの研究では日本語を形態素解析して用いていた)。

3年分の重みがある研究なので、苦労の後も伺えて大変興味深い。コメントをするのも気を引き締めねば、と思いつつ、慎重に言葉を選んでコメントする。自分もまだまだ質問力を上げたいと思っているので、こういう公聴会の場所で本質的な質問をしようとウンウン考えるのは役に立つ。生きているうちに100回も公聴会には出られないと思うので、あと何回出られるか、という感じだが、3年分の研究に刺さるようなことを言いたいものである。

自分の博士論文の公聴会の日のことを思い出すが、もう博士号を取得してから8年目である、ということに軽い衝撃を受ける。大学院に学生として在籍していた(つまり朝から晩まで自然言語処理をしていた)期間より長いし、留年も含めて7年間学部生でいた(つまり哲学専攻であった)期間よりも長い。博士号を取得してからの8年間で身に付けた専門性とは何だろうか?コピペで書類を作成する能力とか、安請け合いせず最初から仕事を断る能力とか、早めに動いて仕事を外出しする能力とか、そういう能力ばかりな気がする……。