楽しさを伝えることがまず始め

午前中は銭湯。すっかり常連になっている気がする。全ての休日に行きたがるのはどうかと思うが……。

お昼から小金井公園で山に登ったりすべり台をしたり。今日は大道芸を見ることができたので大満足のようである。

最近論文の添削が続いた(そして一段落した)のでストレス解消のために本を読む。谷川浩司「中学生棋士」と羽生善治羽生善治 闘う頭脳」である。

中学生棋士 (角川新書)

中学生棋士 (角川新書)

前者は藤井聡太四段が破竹の連勝をしたタイミングで中学生棋士にスポットライトを当てるような本で、谷川浩司が後進の育成についてどのように考えているのか、ということが(自らも中学生棋士として歩んできた体験も踏まえて)書かれているのが興味深かった。弟子が優秀であれば優秀であるほど、プロ棋士としての師匠は何もしないのが仕事だ、という話は(自分もそういう教育を、生まれたときから現在に至るまでずっと受けてきていて)考えさせられる。その反面、トッププロに育つ棋士は、プロの門の入り口を叩くまで、地元で「将棋って楽しい!」と思うような(必ずしも本人は強くなくても)いい道場や指導者に恵まれている、という話も示唆的で、自分は前者なのか後者なのか、それともどちらでもないのか、よく分からない。首都大の立ち位置的には研究者養成機関ではないので後者だと思うが、研究の楽しさを自分は伝え切れているのだろうか、と思うのである。

後者はこれまで単行本として刊行されていた本の文庫化で、インタビューやコラムを中心に構成されているのだが、羽生善治の昔の記事から最近の記事まで通して見ると大変おもしろい。自分ももう20歳の頃に書いた文章を読む返すことができる(20歳というと実に20年前!)のだが、変わっていない部分と変わっている部分と両方あり、経験が積み重なっている部分が違うのだが、羽生善治は20歳でもすごい感覚を持っていたのだな、と思ったりする。トップに君臨し続けるにはどういう意識でいるのか、というのが濃密に詰まった本で、読んでいて圧巻であった。彼のすごいところは対局だけではなくこういう普及活動も手を抜かずにやることであり、自分も研究と教育と大学運営と社会貢献だけでなく、普及活動は普及活動でやらないとな、と思ったりする。

一つ意外だったのは畠田理恵との結婚に関する文章で、プロポーズ前後のことも書かれているのだが、結婚に当たっては畠田理恵が芸能活動を辞めることを条件に出した、という話で、プロ棋士として文字通りトップで居続けるためにはパートナーは家に入って支えてもらえないと無理、と時間をかけて説得した、いう件で、やはりトップの中のトップを維持するというのはそうなんだろうなぁ、と思ったりする。まあ、その後、畠田理恵Twitter アカウントで羽生善治が意見を述べたりするのを見ると、夫婦で仕事をしているのだな、と思うし、そういう働き方もあるな、と考えたりする。

休日なので他に何もしなかった(できなかった)が、こういう生活、いつまで続くかなぁ。もう娘に「パパきらい、あっちいって」「パパと一緒に寝ない、かーちゃんと寝る」とよく言っているし、親離れも早いかもしれず。