ノミネートされただけでも報われる

午前中は EMNLP 読み会。これで今年度の論文読み会は終了(COLING 読み会はしない)。

最後に紹介してもらった Memory-enhanced Decoder for Neural Machine Translation がおもしろかった。(学生の作ったスライド
ニューラル翻訳を汎用的なニューラルチューリングマシンで拡張する(メモリの読み書きの機能を持たせる)、という趣の研究で、ニューラル翻訳の拡張はいろいろ出ているが、こういう汎用性が高い手法で精度が上がるというのは応用範囲が広いのではないかと思う。結局、いつ何を覚えていつ忘れるか、というのをどのようにモデルに入れるか、ということだと思うが、オーバーヘッドが大きそうな手法でもなんとかなる、ということなのだろうか?

昼休み明けから言語処理学会年次大会の発表練習をする。今回から「若手奨励賞ノミネート」というのがプログラムに表示されるようになった(スペードのマークが入っていて、Safari だと検索できるのになぜか Firefox だと検索できない)のだが、ノミネートだけで受賞しないという可能性もある一方、優秀賞と最優秀賞は表示されないというのもなんとも言えない気がする(あと、若手奨励賞にノミネートされたというのと、優秀賞にノミネートされたというのは排他なのだろうか?)。一部の国際会議でやっているように「受賞対象論文セッション」みたいなのができればいいが、ポスター発表も口頭発表と同程度あるとそういうのも難しいのだろうなぁ。(論文誌の受賞者セッションは数年前から始まり、かなりよい企画だと思う)

ちなみに自然言語処理分野は表彰件数が少ないことで有名(?)で、全てのセッションに学生奨励賞が出るみたいなことはなく、優秀賞(最優秀賞を含む)が投稿数全体の2%を目安、若手奨励賞は割合ではなく数で上限が決まっているが大体投稿数の2-3%なので、多くても5%くらいしか表彰されない。(若手奨励賞は必ずしも学生が対象ではないので、学生の表彰の機会が少ない)

うちからは下記の2件がノミネート。他に複数件ノミネートされているのは NAIST 松本研、京大森研、お茶大戸次研で、研究室の規模に関わらず頑張ってくれているのを評価してもらっているのかな、と思ったりする(NAIST 松本研は違うけど)。

  • 金子正弘, 堺澤勇也, 小町守. 英語学習者の文法誤りパターンと正誤情報を考慮した単語分散表現学習. 言語処理学会第23回年次大会. March 2017.
  • 松村雪桜, 佐藤貴之, 小町守. 逆翻訳によるニューラル機械翻訳の最適化. 言語処理学会第23回年次大会. March 2017.

それぞれ学生が「こういうことをやりたい」というので好きにやってもらった研究で、2人とも研究室に来てから1年目だが([twitter:@kanekokaneko123]くんは外部から進学した M1 で [twitter:@yukio_0326] くんは B4)、なるほどな〜、という結果で自分も進捗報告を聞くのが楽しみだった。自分は今回の言語処理学会年次大会は水曜日しか参加しない予定だが、ポスター発表で彼らの発表を見かけたら聞いていただければと思う。(ちなみに全部で10件の発表があり、どれを聞いていただいても聞きごたえはあると思う)

発表練習は人数が多いのでまた3時間かかる。他の人のポスターへのコメントを聞いて、他山の石として直してほしいわけだが、他人のポスターへのコメントを聞いている人が少ないのが気にかかる。発表者じゃなくても聴きにきてほしいのだが……(そういう人の発表は、練習のときまた同じ基礎的なことを言わないといけないので、クオリティが上がりにくい)

残った時間で進捗報告をする。人数がいるわりに1時間しかなかったので、1人10分でやってもらったりするが、10分必要ない人が15分使って、10分使うべきな人が5分しか使えなかったりして、難しい。進捗報告の順番はこちらが指定するべきだろうか?もともと、余裕のある時間で進捗報告をするべきなのだろうけど……。