ACL-IJCNLP 2015 最終日: 論文に書かれていない裏話

朝7時から論文の添削。時差的には日本の8時なので、娘がいるかいないかで朝起きられるかどうかが変わっているらしい……。今年の健康診断の結果が先日返ってきていて、この5-6年肝臓とコレステロールの値が高いままずっと下がらなかった(運動不足による脂肪肝)のだが、去年の5月に娘が生まれてから超朝型生活になり、この4月からは週4日保育園の送り迎えをしている(かつ土日は外で遊んでいる)せいか、いずれも値があっという間に正常値に戻った。これまでの値(正常値の3倍くらい)はなんだったのか(汗)

朝も娘が生まれる前は8時に起きるのもつらかったのだが、いまや毎日目覚ましをかけなくても6時には起きているしな〜。夜型は一生治らないと思っていたのだが、人間あっという間に適応できるものである(こなせる仕事の絶対量は確実に減っているが、単位時間当たりの生産性は明らかに上がっている)。

午前中は NLP for the Web というセッションで[twitter:@shin_kan0] くんの口頭発表。

  • Shin Kanouchi, Mamoru Komachi, Naoaki Okazaki (Tohoku University), Eiji ARAMAKI (Kyoto University) and Hiroshi Ishikawa. Who caught a cold? - Identifying the subject of a symptom. In Proceedings of the ACL-IJCNLP 2015 (long papers), pp.1660-1670. Beijing, China, July 2015.

発表は堂々としたもので、世界の研究者を相手に物怖じせずしっかりと説明していて、たいへん分かりやすかった。

むしろ自分の初国際会議はこんなにちゃんと発表できていなかったように思う(汗)松本先生、「小町くんは一人で発表できるよね。よろしく」と自分の発表のあとにおもむろに到着していたけど……。(初めての国際会議だったのに 初めての座長 を頼まれたりと、小さな国際会議ならではの経験もできたので、いま考えてみるとよい経験であった)

何回かこの日記でも取り上げているが、(投稿時)学部生で自然言語処理のトップカンファレンスである ACL に通すのは相当珍しいことでもあるし、よくがんばったなと改めて思うのだが、6〜7月にかけてオンライン英会話で延々英語の練習をしていたりして、通っただけで満足せずさらに能力を向上させよう、という姿勢はすばらしい。まだ2年あるので修士のうちにもう一度トップカンファレンスで発表できることを期待 :-)

お昼は [twitter:@Bollegala] さんたちと現地の人が行くような中国料理屋さんで食べる。注文システムがさっぱり分からなかったが、ここで食べた揚げドーナツ、とても好みの味でおいしかった。イギリスの大学での研究や学生指導、授業について(Facebook 等で拝見しているが)直接お話を聞いたり、たいへん参考になる。かなりシステムが違うようだが、各国・各大学で独自に局所最適化された結果、このようになっているのだろう。

イギリスの大学だと修士はそもそも1年制らしいのでかなり事情が違うと思うが、他分野から大学院に入学してくる場合、修士で就職したい人は研究に使える時間がほとんどなく、最終的にそこそこの水準の研究をすることを目標とすると、教員が研究テーマを与えるか(サーベイして本人が研究アイデアを考える時間がない)、またはインターンシップに行くのを断念してもらうかしないと、時間はないのではないか、と思ったりする。あるいは基礎勉強を研究室で用意するのを放棄し、独習できる人だけを対象としてそれ以外の学生は拒否または放置する、ということでも学生の自由な時間を捻出できるのであるが、これは少なくとも自分の目指すいかなる研究室像にも入っていないので、ありえないかな……。

みなさんと別れてタクシーで空港に向かおうとしたのだが、おみやげを物色していると若干現金が足りないことに気がつき、たまたま遭遇した [twitter:@syou6162] くんに日本円と中国元を交換してもらう。なぜかクレジットカードのキャッシングもインターナショナルキャッシュカードも使えなかったので、助かった。空港で改めて空気が悪いことを振り返ったのだが、ここ(北京)に長期間いると健康に深刻な被害が出るのではなかろうか?

帰宅したのは23時過ぎだが、やはり毎年1回はトップカンファレンス(自然言語処理分野だと、ACL, NAACL, EMNLP, COLING あたり)に来たいなという思いを強くした。今回の国際会議でおもしろかった研究について Twitter からつぶやきを拾ってみたが、特に以下のような裏話、論文に書かれないことは論文を読むだけでは分からないので、直接会うのも大事だなと思う。