少しずつ助走をつけてジャンプする

晦日であるが、朝は言語処理学会年次大会と卒論の原稿を添削したりする。朝の時間くらいしか使えないので、年内に送ってもらったものを返すまではやるしかない。

お昼にお見舞いに行ったりする。当たり前であるが、入院していると年末年始も関係なく人がいるのだなあ。(人手が足りなくなるから面会できないとか言われるのかなと思っていた)

毎年大晦日は1年の振り返りをしているので、今年も。

1-3月

  • 研究室で2回目の修士の学生を輩出するが、修士論文を出す学生が7人もいて、かなり厳しかった。新入生の面倒を上級生が見たり、お互い原稿の proofread はしてもらうことにして、だいぶうまく回った。来年以降もこれを定番とすることに。
  • 言語処理学会年次大会に10本投稿し、その勢いで ACL の short paper に9本投稿して、研究室的に新しいフェーズに突入した。結局 short paper は1本も通らず、研究室の戦略(英語で論文を書いて投稿できればいい、というポリシーで、期待値的にときどき通るのではないかと楽観的に考えていた)を大きく転換する契機となる。
  • 筑波大学で開催された言語処理学会年次大会に1日だけ参加するも、ACL の author response をひたすら準備して、それに関して学生と打ち合わせしただけという、なんとも意味のない参加の仕方をした。国内学会との付き合い方を考えるきっかけになる。

4-6月

  • 研究室に新入生を迎え、研究生を入れると総勢25人(入れないと23人)という過去最大の人数になる。物理的に座席が足りなくなったので、研究生はシェアしてもらう。前期は基礎勉強会がメインなので、人数が多くてもそんなに不都合はないのだが、後期は厳しい。
  • 査読あり国際会議に投稿して不採択で、書いたのが卒業生なので査読のコメントで追加実験を要求されても対応できない、あるいは内容的に旬を過ぎてしまって、ちゃんとした国際会議に通すのは難しい、と判断した論文について、arXiv で公開する。今後も積極的に arXiv を(研究を宣伝する場所というよりは、論文を埋もれさせないために)活用していきたい。
  • 今年で今年度までに引き受けた仕事は全部なんらかの形で終わらせることを心に決め、4月以降は積極的に新規の仕事を断る。ひとまず仕事の負荷を下げないとどうしようもないので、自分の時間をどう使うか、ということを今まで以上に意識する。

7-9月

  • 自然言語処理の主要な国際会議(EMNLPとIJCNLP)の NLP Applications の area chair の仕事をする。以前 ACL の同じ分野の area chair はしたことがあるが、2つの学会の area chair を同じ年にするのは初めてで、ちょっと大変だった。これからは年に1つ(先に依頼が来た方)にしたい。
  • 修士の卒業生たちの修士論文を論文誌に投稿しようとしていたが、結局全員断念する。就職してしまうと時間がなくなることはもちろんのこと、一気にモチベーションが下がるし、可能な限り在学中(理想的には修士論文発表会より前)にケリがつくようにしたい。
  • 研究室初めて、博士前期課程の大学院入試で定員を設定し、かつ定員を超える人数が大学院に合格したので、定員オーバーということで合格者の進学を断った(うちの研究科は合否と研究室配属は別で、かつ研究室配属に内部生か外部生かも関係ない)。現在の制度上、内部生でも進学できないのは仕方ないが(東大や東北大など、他大学ではときどき聞いていたが)、断る方も胃が痛い。

10-12月

  • 研究室インターンシップで B3 の人たちと議論しながらアノテーションをしてもらう。2年前の経験から、やる気のある人が来てくれるならこれが一番いい。言語処理学会年次大会でも発表予定。
  • 情報処理学会自然言語処理研究会(NL研)の幹事業務を終え、国内の学会の主な仕事から引退する。今後は投稿も学会運営への貢献も、国際会議(学会)での活動を重点的にやっていきたい。
  • 言語処理学会年次大会で10本ほど投稿希望があり、添削祭り。昨年同様、在学生が新入生の面倒を見る形にしてもらい、ちゃんと在学生に見てもらっている人はしっかり書いてきていて大変助かった。理由は様々だが、メンターとの連携がうまくいっていない場合が今後の課題。

去年の感想とほぼ同じだが、仕事を断ることで時間を捻出し、現在引き受けている仕事の質を上げることに費やした1年だった。残念ながら継続が多く量はほとんど減っていないが、新規に引き受けないことで生まれたわずかな時間でこれまで積もりに積もっていた仕事を(ネガティブな結果でも)少し前に進めることができた。引き受けている仕事も量が変わっていない以上、劇的な質の向上は見込めないが、質を上げようという意識で取り組むことで、自分のものの見方が少し変わった。もう1年継続して取り組むことで、新しい境地に到達したい。