全訳は読んで聞かせるものでない

午前中は事務処理。

研究室では都内のセミナー・シンポジウム・研究会・勉強会に参加する場合、参加費と旅費を研究費から出しているのだが、日帰り出張の提出書類が増えたようで、面倒なことになった(とはいえ、本来は出さなければいけなかった書類のようである)。

せっかく都内にキャンパスがあるし、企業の人や学外の大学の人と知り合う貴重な機会でもあるので、勉強会の参加補助は今後も続けたいのだが、現実的な事務作業量で継続するのが難しい。とりあえず受益者負担の原則で、学生に書類を用意してもらうことにしたのだが、慣れていない人が作成すると間違って書いたりして修正の手間がかかって余計面倒だったりするし、どうするのがベストなのだろうか……。

お昼に共同研究関係のミーティング。4人で予備実験としてタグ付けし、一致していないラベルと実例を見て、どのようにつけるべきか、あるいはタグ集合やタグ付け単位はこれでいいか、というようなことを議論するのである。こういう作業、自然言語処理の研究室に来たら、一度は体験するとよいと思うが、周りにタグ付けを一通り回したことのある人がいないと、作りっぱなしで使いものにならないデータが後に残るだけな気がする。残るならまだよくて、対外発表をしてデータももらっておかないと、学生の卒業とともに失われることのほうが多いかもしれない(不適切なデータを、先輩が作ったものだから、と渡されて、どうやってもまともな結果が出ない実験しかできない後輩がいるのより、まだましかもしれないが)。

午後は SLP(自然言語処理の教科書)の輪読。機械翻訳の章の継続である。論文紹介や英語の本の輪読で、全訳して読み上げる人が時にいるのだが、読み上げられると英語のみを読んでいる人は理解しにくい(特に日本語として自然にしようとして、遠く離れた文末から訳し上げたりすると、まずついていけない)ので、できるだけ英語を見て説明してほしいと考えている。つまり、全訳を作るのはかまわないのだが、全訳を作ってそれを見ないで説明する(分からなくなったときに参照するのはアリ)、というわけである。全訳自身、作らないで説明できればよいが、英語力によっては(TOEIC 500点以下の人とか?)全訳を作らないと説明不能であることもあるので、英語力に不安のある人は作ることをお勧めするが……。

夕方は PRMLパターン認識機械学習)の勉強会だったのだが、途中で退席して大学院教務委員会に出席。日野キャンパス内の委員会なので気楽なものであるが、他コースのみなさんと知り合う機会でもあるので、勉強になる。とはいえ、1年目は様子見で、2年目に向けていろいろ仕込み、2年目に揉んで3年目に実施する、というような感じで何年もかけて変えていくので、任期2年では引き継いだ試行案件を試行し、検討事項を検討し、次の委員のために改善点を上げておく、というくらいしかできないのだけど。