哲学と人工知能はうりふたつ

ゴールデンウィークの狭間で、平日だが授業のない休講日である。有給休暇にしようかとも思ったのだが、午後に大学に行く用事があったので、結局出勤することに。

午前中は六本木ヒルズへ。いつも新宿乗り換えで大江戸線六本木駅から歩くのだが、新宿での乗り換えも歩く(というか潜る)し、大江戸線六本木駅はミッドタウンに行くには便利なのに、ヒルズへはけっこう歩かないといけない(地上に出ないといけないし)のが、ちょっとマイナス。日比谷線からヒルズは地下でつながっていて行きやすいので、恵比寿まで行って日比谷線に乗り換える手もあるが、乗り換えの回数が多いのが嫌なのである(歩くこと自体は好きなので、新宿乗り換えで困っていないが)。

そこで、今回は趣向を変えて、渋谷からヒルズ直通バスに乗ってみた(たぶん2回目)。バスだと渋滞があるかな?と思ったが、そもそも短い距離だし、朝の時間帯でも全然道路が混んでいなかった(バス自身も全員着席できるくらい)ので、大変快適。オフィスの真下に到着するし、これからヒルズに来るときはこの経路にしようかな。渋谷から六本木(ミッドタウン)に1週間くらい通っていたときも、いろいろ試して結局バスがもっとも快適だったので、バスで通勤していたし……。

午前中のお仕事を済ませて、お昼は首都大の学部3年生2人を連れて、Google でランチ。大学院に進学するかどうか、などなど、進路に関する悩みを相談してくれていた2人なので、それなら社会科見学をしてはどうか、ということで、[twitter:@ta_makino] さんにホストをお願いしたのである(快諾していただき、大変ありがたい)。

エレベーターの中でもカフェでも英語が飛び交っていたので、学生は気後れしたりすることもあったようだが、とても参考になったようで、よかった。東大を早期退職して Microsoft Research Asia に行っていた 辻井先生が産総研の人工知能研究センターの所長になったという話で、何が人工知能だと思うか?という質問を@ta_makino さんがされていたのが印象深かった。

曰く、仕組みが解明されてくるとそれは自然言語処理なり機械学習なりという名前がついて(一般の人が思う)人工知能からは離れていき、「なんだかよく分からないけど高度なことをするブラックボックス」として残されたものが人工知能なのではないか、というお話。ちょうど数学やら自然科学やらがどんどん離脱していった「哲学」と同じような感じだと思ったりする。哲学でも(私見だが)活気のあるのは倫理学関係の領域だし、人工知能研究も行き着く先は倫理学なのではないかという気がする。

オフィス見学までさせてもらって(全フロア見せてもらった)、新宿まで学生たちと帰る道すがら、学部1年生のころから研究室に出入りして研究がしたかった(し、実際彼は1年生のときうちの研究室を含む複数の研究室に見学に来ていた)、という話を聞いたりして、うーん、とうなる。

学生の心情として全く共感するのであるが、もっとも大きな障壁は、1-2年生と3年生以降でキャンパスが違う、ということである。キャンパスが同じなら、授業が終わったら来てもらう、あるいは授業の合間に来てもらう、などといったことが気軽にできるのだが、キャンパス分断問題のため、移動すると前後それぞれ1コマの授業に出られなくなるので(東大の駒場・本郷の移動と同様の問題)、授業期間中は研究室に出入りして研究するのは事実上不可能に近い。 

現状の制度でなんとかするなら長期休暇中に来てもらうということになるが、そういう要望があるなら対応してもいいのかもしれない。抜け駆けするのか、青田買いするのか、と言い出す、または懸念する教員もいるかもしれないが、(教育はともかく研究は)牽制しあって低いベースラインに全員を揃えるのではなく、やりたい人には機会を提供すればいいと思うのだ(研究室配属には、教員の裁量の余地は全くないので、研究室に出入りしたから有利ということは全くない)。

あと、こういう研究室インターンシップ(あるいはアルバイト)でうまくいくのは、学生がプログラミングについては教えなくても勝手にやれる人、というケースに限られる気がするので、プログラミング能力が一定以上なければ、意欲があっても受け入れることができなさそうである(研究の意欲があるのにプログラミングの意欲がない、ということはあまりないので、そんなに大きな問題ではないが)。結局普通にインターンを受け入れるときのように、コーディング面接をした上で、できない人はお断りする、というのとセットで考える必要があるんじゃないかな。

などと思いつつ、うちの研究室はすでに座席が満席なので、そういう希望があっても受け入れることができないわけであるが……

夕方は日野に移動し、Project Next NLP のウェブ応用タスクの Skype ミーティングに参加させてもらう(これまで一度も参加していないので、これが初めて)。新規の仕事がアサインされた気がするが、スケジュール的に自分がやるのはどう見ても無理。こんな形で仕事を振れるというのは、振っても大丈夫な環境に普段いるということだと思うのだが、それがうらやましく感じるほどである。(あと、さきがけや CREST も、採択率が低いのに申請書を準備する時間がもったいないので、去年から書くのを断念してそのぶん学生と一緒にいる時間に回している。そもそも年一千万円単位の研究費を必要としていないので……)