朝には歩けるくらいに回復したのだが、しばらく身体を起こしていると頭痛がする程度には病み上がりなので、職場に電話して有給休暇を使う。在宅で仕事をしようかと思ったのだが、仕事ができるような体調でもなかった……。
娘も今日から保育園に行ってよいと言われていたのだが、まだ動作が緩慢だし、下痢も治っていないので、家で過ごすことになる。親子仲良く家でまったりと過ごす。
そういえば先日「博士号の取り方」を読んだ。[twitter:@ceekz] さんが何回か取り上げていたので興味を持ったのである。
- 作者: エステール M フィリップス,デレック S ピュー,角谷快彦
- 出版社/メーカー: 出版サポート大樹舎
- 発売日: 2010/01/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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割と当たり前のことが書かれていると一瞬思ったのだが、たぶん博士号を取ったことがない人には当たり前ではないと思うので、博士号がほしい、と漠然と思っている人は、一度読むとよいだろう。できれば指導教員を選ぶ前に読んだ方がよい。つまり、大学院の出願前であり、学部3年生のころ。(まあ、往々にしてそんなころに博士号がほしいなんて思っていないので、この本を読んでいるときには指導教員の変更が難しく、博士号を断念する方向にバイアスがかかりそうだが……)
博士論文を書くのがなかなかうまく行かないパターンとしてよくある一つは、学部までは試験やレポートで自分がどれくらい理解したか、というのをアピールするのは得意な反面、教科書もなにもないところに新しい1ページを付け加える、という作業に踏み切れない人である。教科書のように完成されたものを勉強するのは好きなのだが、それにまだ未整理のものを自分で付け足したりすることに抵抗感があるのかもしれない。ただ、このタイプの人は、壁を乗り切れれば優れた(職業的な)研究者になると思う。
もう一つのパターンは、研究としてやりたいことは本人が持っているのだが、それを(その分野のコミュニティでアクセプトされる)論文というフォーマットに落とし込むことができない人である。論文にしようと思うと、ちゃんとサーベイをしたり、先行研究と比較して自分の研究がどうであって、どういうことが分かって、何が未解決の問題か、ということを議論する必要があるのだが、これができないのである。一つには、それまでそういう指導を受けてきていないためにできないのが原因であるが、問題は学生が指導を拒否する場合、もう一つは指導教員が指導しない場合(能力的にできない場合もあるし、意欲的にやらない場合もある)、の2つで、この場合はどうやっても博士号は取得できないであろう。
本人のもともとやりたかったことが、論文にする段階でどんどん変容していくのが嫌、という気持ちは分からなくもないのだが、一度論文にする体験を経ると、論文を書くときはこんなお作法を守らないといけないのか、とびっくりする反面、そういうお作法を守ればいいだけ、ということも分かるので、これも乗り越えられれば(もともとのリサーチクエスチョンはしっかりしているので、指導教員のガイドがなくてもできるようになれば)よい研究者になると思う。
別のキャリアを見つけて中退するのは、それが悪いということではないが、別の進路を選ぶにしても、いったん博士後期課程に入ったら(ある程度割り切って)博士号を取れるといいのに、と思うのである。(まあ、研究者以外の進路を選ぶ人に、博士論文の苦しさは割に合わないと思うので、仕方ないが……)