エンジニアかジャーナリストか立場によって受け取り方も違う

思い立って iPad miniiOS 7 にしてみる。動作がもっさりしていることを除けば、悪くない。日本語入力がさらによくなったように思う。あと、入力が引っかかってアプリケーションが突然落ちるということがなくなったのは大きい(引っかかっても待っていたら元に戻る)。ただ、iPhone はまだアップデートするのは怖いかも……。

先日本屋で購入した「グーグル秘録」を読み終える。(リンク先は、最近出た文庫本のほうで、リビューは単行本の方を参照のこと)

グーグル秘録 (文春文庫)

グーグル秘録 (文春文庫)

Amazon のリビューの評価は悪くないが、個人的には読後感がよろしくない。技術的に正確ではないことが書かれている(筆者はジャーナリストなので仕方ないが)し、度重なるエンジニアへの失礼な誘導尋問(ユダヤ人である出自が自分の才能に影響があったと思うかとか)も、最初からエンジニアを下に見ている感じで愉快ではない。

もっとも、あとがきを読むと、そもそもこの本はGoogleについて書きたかったわけではなく、凋落する新聞メディアをエンジニアが歯牙にもかけないから、おい、お前ら調子に乗ってんなよ、と言いたくて書いた本であって、この本の正しい読み方は、ウェブなんて一般人が書き散らかしている便所の落書きだ、我々スマートな新聞記者・編集者といったプロのライターを馬鹿にするな、ウェブなんて滅びてしまえ、とプロの紙媒体の記者・編集者側に感情移入して読むべき本なのだと思う。1/3まで読んで、ひどく気分が悪くなったのだが、そのことに気がついてからは素直に読むことができた。(そういう既存のメディアの擁護者から見ても、ここまでGoogleは目の上のタンコブなんだな、と逆説的に分かるが)

エンジニアにシンパシーを感じる人は、この本ではなく IN THE PLEX の訳書の「グーグル・ネット覇者の真実」を読むことをお勧めする。

グーグル ネット覇者の真実 追われる立場から追う立場へ

グーグル ネット覇者の真実 追われる立場から追う立場へ

Googleのコードも最初は大学レベルだったという記事でも書いたが、こちらの本は実装の詳細についても書かれていて、人間模様の描写も圧巻だし、最初から最後まで楽しく一気に通読できる。情報科学を専攻する学部生、大学院生、エンジニア全員の読んでもらいたい本である。