世の中の流れについていけないと感じるとき

午前中、共同研究の電話ミーティング。結果はこれでよいので、あとはここから原稿だな〜。やっぱり実験をさくっとできる人は、研究のスピードが違うなぁ。自分も見習いたい……

3時からオフィスアワー。結局今回も誰も来なかったが、研究室でいつでも中断できる仕事をしつつ待機。次回オフィスアワーはもっと短くてもいいかなぁ (今回は2時間x2回取ったが、そもそもメールで聞いてくれる人がほとんどだったし)。

アジャイルサムライ」

アジャイルサムライ−達人開発者への道−

アジャイルサムライ−達人開発者への道−

を読んでみたが、とても読みにくい。ブログ記事だと思えばよいのだが、教科書のように読み継がれる可能性がある本を、こういうように訳されると残念な気持ちになる。まあ、そもそもプログラミングの本で数年の読書に耐えるものはほとんどないが、エンジニアリングの本は割合古いものでも生き残るものはたくさんあるので、そういう本かなと期待したのだが、「◯◯すぎて生きるのがつらい」とか「××です (キリッ」とか、ネット用語を散りばめて訳してあったりして、読むのがつらい。ネタが分かる自分もどうかと思うが、ネタが分かる人に通じればいいやと期待してそういう表現を使っているのか、あるいはネタを知らない人が読んでどう感じるか考えてそれでもあえてそう訳しているのか、どうなのか分からないが……。

フォントも、みかちゃんフォント風の手書き風フォントを使っているのだが、これなら最初から手書きで書くか、あるいは普通のフォントを使ってほしいと思う。手書き風フォントでも、「ふい字フォント」とか、ライセンス的にも使えるフォントは他にもいろいろあったと思うのだが……(もっとも、手書き風じゃない部分に関しても、MS P ゴシックのようなフォントを使ってそのままだったり、あまりそのあたりは気にされていないのかなという印象だが)。

内容としても「ベロシティ」だとか「インセプションデッキ」だとか「エレベーターピッチ」だとかやたら無意味にカタカナ用語が出てくるし (そしてほとんどは初出の場所で説明されない……数十ページ読んだ先で説明してあるけど)、アジャイル開発がなんであるか知っている人には分かるのかもしれないが、これが「初心者向け」の本だというのはちょっと無理がある (その割には、なぜか読んで絶賛する人たちは「この本は初心者にお勧め」と言うので謎が深まる)。たぶん英語版を読んだ場合、すでにアジャイル開発に慣れ親しんでいる人が読めば、「ああ、こんなコンパクトに説明してくれて、神髄を伝えてくれて、いい本!」と思うのかなと感じる。あと、地の文の文体は自分にとってはしんどかったが、コラムの体験談はどれもためになる内容だったし、章末の「マスターと弟子」のやりとりは「なるほどな」と思わせる。後半の実際にどのようにリファクタリングするかとか、実例が豊富なところはイメージしやすくてよいと思うし、元々の原書も構成は少し考えたほうがよかったんじゃないかなと思ったりする。

自分としては「アジャイルラクティス」

アジャイルプラクティス 達人プログラマに学ぶ現場開発者の習慣

アジャイルプラクティス 達人プログラマに学ぶ現場開発者の習慣

のほうが分かりやすいし、こちらの本はもっと長く読まれる良書だと思うけどな〜。文章も丁寧に訳してあるし、10年後に読んでも通用する内容だと思うのだが……。端的に言うと、「アジャイルサムライ」のほうは、もっと丁寧に編集・監修の人にチェックしてほしいと思った、ということなんだろうか。最近は本の「寿命」が短いので、出版・翻訳サイクルも勢い速くなり、そんなに時間も手間もかけていられないのだろうけど、良書が世に出て行かないと、みんな「ブログでいいや」「ウェブでいいや」ってことになっちゃうんじゃないかなぁ (本好きな人間として、それはちょっと悲しい)。

夜、AppleScript と戯れる。やり始めるとけっこう気になる。しかし GUI プログラミングは (GUI で作るのも、GUI を作るのも) 慣れない。根本的に向いていないのだろうな〜……。