研究者人生ゲームのあがりは人それぞれ

掃除をしたり洗濯をしたり。コーヒーを飲むと休日は調子がいい。

以前から読みたいと思っていた「研究者人生双六講義」をようやく購入したので、読んでみる。

研究者人生双六講義 (岩波科学ライブラリー 96)

研究者人生双六講義 (岩波科学ライブラリー 96)

もっと参考になるかと思いきや、そうでもなかった。もともと東京医科歯科大の博士後期課程に進学する人を対象に書かれた文章がベースになっているそうで、医学・歯学系の研究スタイルに近い話だからかもしれない。最初のほうの話はなるほどと思うところもあるが、かなり医学に限定された話ではないかな〜 (テクニシャンのような人は情報系ではほとんど見かけないし、コレスポンディングオーサーというのもないし)。この本は「研究有段者」という考え方を提案した本、ということで記憶していて、そこは納得。

以前も孫引きしていたが、今回ちゃんと読んでみたところ、以下のような感じ。

  1. 与えられたテーマで実験して結果を出せること (これができないと研究室に存在できない)
  2. 自らテーマを見つけ仮説を立てられること (平均的な大学における大学院生に要求される水準)
  3. 自分の名前で研究費を獲得できること (ボスの名前の申請書の共同研究者から、一人前のプロの研究者になる最低条件)
  4. 独創的な研究を着想遂行できること (外国や他人の研究の後追いではなく、他人が続いて研究するようなテーマの開拓)
  5. 研究領域で不可欠な人材となること (その人がいなければその研究テーマが成り立たない、というような人材になる)
  6. 研究領域を代表して組織を率いる (一人の力では達成できないような研究を遂行する)
  7. 独自の研究領域を提案し予算枠を獲得できること (自分以外の他の研究者にも大きな成果を分配する)
  8. 国家の科学技術基本政策を策定遂行できること (10年、20年先を見据えた研究を計画実行する)

(前掲書 pp.15-20 より抜粋。括弧内は引用者による)

去年の10月は「2段と3段の間」くらいだったようだが、今はちょうど3段かな。1年経って少しは進歩したかな。将棋は4段からプロ棋士なので、それくらいにはなりたいものである。

あと「崖っぷち弱小大学物語」

崖っぷち弱小大学物語 (中公新書ラクレ)

崖っぷち弱小大学物語 (中公新書ラクレ)

も読んでみたが、こちらは京大の教授から、行き先のことを詳しく調べず小さな私立大学に移ってからの恨み節……。学生がゆとり世代で崩壊している、という話は噂に聞くが、実際どれくらいひどいか、というのを赤裸々に述べている (まだ教えているのにこんなこと書いていいんだろうか)。あと、学生だけでなく教員も指導力がなさすぎて崩壊している、とか。ただ、結局孤軍奮闘で、入ってくる学生の質が変わるわけではないし、教員の意識が変わるわけでもないし、延々と不満が書かれていて、暗澹たる気持ちになる。元々学内の紀要に書いた3編の「論文」をまとめて改変したものだそうで、こうやって表に出る前に学内の人が読んだのではないかと思うのだが、どういう反応だったんだろうか。一つこの本から得た教訓としては、オファーが来ても軽々しく即断せず、ちゃんと行き先の情報を調べてから判断したほうがいい、ということだろうか……(汗)

引っ越しのために掃除をしていたら人工知能学会作成の「研究者人生ゲーム」を発掘したので、今度の研究室 BBQ のときにでも持って行こうかな。和気藹々とやるようなゲームじゃないかもしれないが (汗)