真剣勝負中に外野はあれこれ口を出してはいけない

今日はミーティングも勉強会もないので落ち着いて過ごす。

kodai-t くんから就活ノートをもらったのだが、これは就職活動をしましょうという意味か、あるいは自分はまだ学生であるという意味か (笑) 「就活美女日記」とあるが、きれいな学生さん多いねえ。WiMAXNAIST 周辺がエリア外(拡大予定もない)なのが痛いかな〜。ま、大学内で使う用事もあまりないけど……(一応 e-mobile はだいぶ前からカバーされているので緊急時のために契約している)

NAIST 男女共同参画室推薦の「The 女子力」

The女子力    ―生きるための処方箋―

The女子力 ―生きるための処方箋―

を読んでみる。NHK の特集から作成された本らしい。去年の流行語に「女子会」というものがあったが、「女子力とはなにか」というような話が延々あるわけではなく、各界で活躍されている女性のインタビュー集。インタビューによってばらつきはあるが、それが逆に人それぞれ決まった道があるわけではないのだな、ということを教えてくれる。
たぶん著者らの意図したことだろうが、全部のインタビュー見ても「女性だから」というような内容は全然見当たらず、単にインタビューした相手が女性だった、という感じかな。一つの例外は「婚活」時代の白河桃子さんで彼女のインタビューだけは「30歳の自分に言いたいのは「とにかく今子どもを産め。結婚しなくてもいいから産め」」と書いていたり、これはこれでおもしろいが (笑)

あと「女流棋士の ON と OFF」も勇気づけられる。

女流棋士のONとOFF (中公新書ラクレ)

女流棋士のONとOFF (中公新書ラクレ)

高橋和といえば自分の高校生時代活躍していた女流棋士で、メディアへの露出も高く、将棋普及に貢献していた功労者である(自分より2歳上)。2005年に現役を引退し、将棋普及に軸足を移して現在も継続中なのだが、どういう考えで現役を引退したか、という話がほろ苦い。

ちなみに将棋は性別無関係のプロと、女性だけが所属できる女流プロがいるので、「男流プロがいないのに女流だけ「女」と言うのはおかしい」という批判は違う。逆に、女性が将棋弱いだけなら女流プロなんて要らないじゃないか、見せ物のためにプロを作るなんて女性蔑視だ、というのは少し当たっている。上記の本も、そういう葛藤が伝わってきてなんだかもどかしい。(囲碁は男女の区別がプロのレベルでもなく、実際男性も女性もプロになって同じ土俵で戦ってお金をもらっているので、なんで将棋は強い女性が出てこないのかよく分からない)

ひとつ「あれ、確かにそうかも」と思ったのは、サッカーでゴールを決めたら体全体で喜びを表現する選手が多いし、柔道は日本生まれの競技だけど勝ってガッツポーズするのは別にいいじゃないの、と思っていたのだが、「将棋で勝っても勝った方は嬉しそうな顔をしない」という話 (嘘だと思う人は NHK の将棋の時間を観てみましょう)。むしろ、勝った方が悲痛な顔をしていることもあるくらい。勝っても負けた人の気持ちを考えて喜びを露にしない、というのは人それぞれかもしれないが、将棋で勝った棋士が相手の投了直後に「やった、勝った、サイコー!」と叫んで走り回ったら、みんな白い目で見るだろう。(もしくはすごい手を指したあと)

まあ、体ではなく頭で勝負だからあまり体で表現ってことがないだけかもしれない。入試で自分の得意な問題が出たら心の中でガッツポーズはするだろうが、試験時間中に「ラッキー、これは満点取れる!俺すげー!」とか叫んだら、ちょっと痛い人扱いされると思うし (笑)

あと対局中、周囲からあれこれアドバイスしたりちょっかい出したりしない、というのは将棋の基本の基本のマナーであり、教育の立場からも「アドバイスするなら対局後にする、あるいは直接対局して口ではなく手で指導する」という話が書いてあるが、研究でもそうかもな〜。自分の頭で考えて次の一手を決めたなら、対局の結果が負けでも自分の心に残るし、言われたまま指したら全然悔しくもないから頭に残らない。学生の横につきっきりで坐ってあれこれ口を出すのではなく、ディスカッションしたらあとは本人が頭を使って手を動かして結果を出すまでとやかく言わない、というのは、もしかすると(将棋で言うと)マナー的なものなのかもしれない。(うまく行くケースもあるので、効果が上がらないと言いたいわけではないが)

自分も自然言語処理の宣伝普及の目的でこの日記や Twitter やらで発言することも多いが、一対一の関係も大切にしようと思うのであった。