プロ棋士を断念しても将棋好き

今日は日野キャンパスでオープンキャンパスなので研究室公開の準備を進めていたのだが、台風が来るということで前日に中止の判断。オープンキャンパス自体は南大沢でも2回あるから、というのがキャンセルに働く大きな理由だというのは分かるのだが、今年は割と高校生と話す気まんまんだったので、ちょっと肩透かし。

午前中は娘のスイミング。2ヶ月に1回進級試験だそうで、前回は保育園の大掃除のために休んで受けなかったのだが、今回受けたら2級上げてくれたようで、まあ受けなくてもほとんど同じことができているから特別に上げてくれたのだろう。

習い事についてはどうすればいいのかよく分からないのだが、自分が中高生のころは将棋をしていたので、「奨励会〜将棋プロ棋士への細い道〜」と「頭の良い子は将棋で育つ」を読んでみた。

自分も高校1年生くらいのときはプロ棋士になる道を考えたこともあったが、将棋の世界は高校生からプロ棋士を目指すのは相当無謀(遅すぎ)で、そこまで自分が将棋が強いとも思っていなかった(名人になるような強さがないのは分かっていたが、プロ棋士として将棋で生きていける程度には指せるのではと思ったりはした)。

1冊目の本は、奨励会を諦めて(売れない)小説家になった筆者の体験談。特にネガティブな側面から(最近に在籍した筆者の主観で)書かれている点は参考になった。まあ、ほとんどの人はプロ棋士にならない方がいいと思うし、将棋でないと生きていけない、くらいの覚悟がないと勝負事は厳しいのだろうな……。

2冊目の本は、自分も同世代の高橋和女流棋士によるもの(彼女は同じく奨励会についての著作がある大崎善生氏と結婚している)。タイトルは明らかに釣りで、本の内容は編集の過程でついたのだろうなぁと思うのだが、この本は彼女がいかに将棋のことが好きで、そして好きであることによってどういう苦悩があったか、そしてそれをどのように乗り越えたか、という半生記で、特に後半部分は壮絶なものがあり(将棋雑誌で対局結果を見たりして「がんばっているなあ」と思っていた一ファンとしては、その裏でこんなことがあったのかと)、よくぞここまでこられた、と拍手を送りたい。

この本で知ったのだが、彼女は吉祥寺に将棋の森という将棋教室兼将棋道場を開いているそうで、平日ではなく土日に教室を開いているなら、娘を通わせたいと思った。将棋が強くなってほしいとは特に思わないのだが、将棋の楽しさは一生のうちで体験してほしいなと思うし、楽しいと思える環境でやるのが一番いい(強くなりたいと思ったら、そのとき続きを考えればいいし)。

そういえば10月3日に首都大日野キャンパスで開催されるシステムデザインフォーラムにて、コンピュータ将棋の開発で知られる山本一成さんに招待講演をお願いしている(事前登録不要、参加費無料)。自分も学内講師講演ということで前座として自然言語処理について30分ほど話すのだが、山本一成さんのお話が聞けるのも大変楽しみにしている。山本一成さんもプログラミング初心者に対する眼差しがとても優しいし、こういうふうに教育的な人というのはかけがえのない存在だと思う。もっとそういう人を増やしていけたらなと考えている。