社会科見学 (3) Google TechTalk と博士の学生に向けて

情報処理学会のイベントの合間を縫って、オフィス見学3日目は @komatsuh さんと @yt76 さんにホストしていただき、@underspedified さん、@Wildkatze くん、@syou6162 さん、@shirayu くん、@tettsyun くんを引率して Google 渋谷オフィスへ。

Google六本木ヒルズ森タワーに移転するというニュースが8日に出ていたので、たぶん渋谷オフィスを見学するのはこれで最後だと思う。

なにか30分-1時間程度トークできたらお願いします、とのことだったので、先日入力メソッド飲み会2009でお話した内容をもう一度。同じ話を聞く人も2人ばかりいたので恐縮であるが、さすがツッコミが勉強になる。もう少し立ち入った話もしたいところではあるが、お互い「聞かなかった方がよかった」となると困るし(汗)、このくらいでお互いよかったのかもしれず。

トークを終えてから例のオフィスランチをいただく。個室を確保しておいてもらえたので、社員の方々6人を交えてざっくばらんに開発の話とか、学生時代の話とか、研究の話とかをお伺いする。はてな@naoya_ito さんの話とも、PFI@hillbig くんの話とも被るが、仕事をする上で身に付けておいてほしいのは基礎的なデータ構造やアルゴリズムの知識とジェネラリスト的な性質であり、博士課程でこういう研究をしたからそれ以外やりたくありません、というような人は向いてない、ということ。どれくらいの範囲が「基礎的なデータ構造やアルゴリズム」なのかと疑問に思う人は、たぶん自分で調べれば分かると思うので、調べてみてはいかが。

@komatsuh さんの「博士後期課程に進学して、論文書くのが合わないと思ってドロップアウトして Google に入るのはダメコース、博士後期課程に進学して、論文書くのも好きでコード書くのも好きで入ってくるのが成功コース」という話が印象的。確かに博士後期課程に進学する場合はどういうふうに博士の3年間を使うのかしっかり考えて進学しないと、漫然と過ごしてなんとなく就職するのは(もし仮に就職できたとしても)あまりよくないコースなんだろうなぁ。

そういえば Google が日本でも研究職のポジションを募集し始めたそうだが、Google の「研究者」というのは「エンジニア」とほぼ同義であり、気分的には肩書きが「エンジニア」になると来にくくなってしまうような、少しアカデミア寄りの、コードもばりばり書ける研究者に入ってきてほしい、という意思表示なんだと思う。

Research Scientist, Machine Translation - Tokyo
You will be highly involved in researching and developing Machine translation system. We seek motivated and enthusiastic colleagues with a strong research background, good programming skills, and a demonstrated ability to generate new ideas and innovate. Experience in natural language processing, machine learning, and information retrieval is a definite plus. As a member of our research team, you will not only invent technology that shapes the world, but also share the ideas behind it with the world.
Responsibilities:

  • Research, design, and implement Machine Translation system

Requirements:

  • PhD in Computer Science with a strong publication history
  • Natural Language Processing background
  • Programming experience in C/C++ and/or Java
  • Fluent in English and Japanese

この話が去年のこの時期に来ていたらかなり悩んだような気がする(プログラミング能力的に自信ない)が、これまた自分にとってはタイミングの問題だったなぁー。情報系で博士号を持っていて、業績がたくさんあり、自然言語処理の出身、というだけで、かなり候補者は絞られる(統計翻訳の専門、なんて条件をつけたら、現実的に応募できる人は皆無に近くなる)。これから数年自然言語処理の大学界隈からポスドクや任期付のポジションの人たちが産業界に移動するので、タイミングとしてもちょうどいいし、これから日英の翻訳を本気でよくしようという宣言でもあるので、大変期待している。(もちろん、Google が現在のところメインのターゲットにしているのは一般ユーザの翻訳なので、企業内文書の機械翻訳Google 翻訳がもっと向上しても、需要が見込めるところだろう)

夜は懇親会を欠礼してはん亭 根津本店へ。串揚げの店。おおー、これはいい。接客も行き届いているし、なによりどれもおいしい! 値段は少し高めだが、また来てみたいかも〜。東大周辺で誰か接待したいときに使おう(笑)