採用は第一印象をいかに覆すことができるかが重要

新入社員はなぜ「期待はずれ」なのか (光文社新書)

新入社員はなぜ「期待はずれ」なのか (光文社新書)

いいかげんこういうテーマの本は読むの止めようと思いつつ(就職サイトは面倒くさいので入っていない)、ふと本屋に行ったら新刊で置いてあったので買って読んでみた。けっこうおもしろかった。完全に社員採用側の目線で書いてあるので、逆に非常に参考になる。最初は蘊蓄から入るのでちょっと雲行き怪しいが、第2章からぐっと実践的になるので勉強になる(文章はあまりうまくないが、内容がためになる)。

クライアントの新卒採用をお手伝いする際、「どのレベルの大学であればトップ層を採れるか」を最初にチェックします。そして、そこに最大限のリソースを投下し、確実にその大学のトップレベルを確保するのです。(中略)
 企業の器に合ったレベルの大学からトップクラスを採用すること。加えて、社風とマッチする大学に絞るというのも大事な選択で、中期的な戦略として大変有効です。

こういう話(pp.79-80)もあれば、

 以前、HPの人事にいたときのことです。日本ではまだ知名度が低く、R&D(研究・開発)部門の採用で悩んでいました。そこで思い切って、3週間のアメリカツアーを組んだのです。限定10名。(中略)
 そのことが、あっという間に学生の間で話題になりました。(中略)
 こうした地道な活動を通じ、少しずつブランドが浸透し、10人参加すれば1人ぐらい入社してくれるようになりました。当時は、全職種で200人くらい採用していましたが、本物の一流人材が10人も入社してくれればいいのです。開発エンジニアという職種は、やはりピカイチが来てくれなければ困るのです。

という話(pp.87-88)もある(ちなみにこの「インターンシップ」、10人参加させるのに1回1000万くらいかかったらしい)。そしてこうやって入社した人のやる気をいかに削がないか、という方策についてもいろいろ書いてある。模擬面接のやりとり(筆者が推奨する「雑談面接」)を読むと、読んでいるこちらがうならされることも。

結局ほとんど面接は第一印象で決まり、面接の内容はその第一印象を追認するように進むそうなのだが、第一印象が間違っている場合もベテランですら3割程度ある(つまり第一印象で決めて正しいのは7割)そうで、それを9割の成功率に持って行くのがプロの人事の仕事、という話(1割はどうしても「一緒に働いてみないと分からない」という部分があるので、これは諦める)。それには第一印象をいかに覆せるか、特にベテランであればあるほど第一印象に頼ってしまいがちなので、どのようにしたらうまくお互い納得の面接ができるか、というシナリオがいくつか載っている。

ここまでしっかり採用に手間暇かけて考えてくれたら、新入社員も本望だろうなぁ。

cf.