ニシエヒガシエ

今日は東京に向けて旅立つ。今回は1週間の滞在で、場所は渋谷ではなく赤坂。

三連休の最終日だからか、3日くらい前に京都から品川行きの新幹線を予約しようとしたのだが、昼から夜までずっと空席なし(もしくは残席僅少で座席指定ができない)。午前の新幹線に乗ろうとすると NAIST をかなり早く出ないといけないので、どうしようかと思案していたが、ふと見た14:09発の便がスポット的に空いていたので、なんとか滑り込む。ここまで厳しいとは……。(でも暑すぎず少し寒いくらいで、京都や奈良を観光するにはいい時期だと思う。)

さて、先週飛行機の中で

Eric Sink on the Business of Software 革新的ソフトウェア企業の作り方

Eric Sink on the Business of Software 革新的ソフトウェア企業の作り方

を読んだ。「小さなISV(独立ソフトウェアベンダ)」のススメ、とでも言うべきこの本、小野和俊のブログ:「小さなソフトウェアベンダー」という選択肢を見たときから読みたいと思っていたのだが、予想に違わずおもしろい本であった。

ソフトウェア開発という生態系(同書の中でも何回か生態系という単語が突然出てきてびっくりするが、英語での ecosystem の直訳かな? 英語でこの単語が普通に使われる単語なのか分からないけど)の中でどう生きるか、という内容。マイクロソフトみたいな巨大な企業もあれば、食物連鎖を支えるオキアミみたいな企業もいっぱいあって、小さいには小さいなりのやり方がある、という指南書である。

あと、指南書といっても「こうしなさい」ということが頭ごなしに書いてあるわけではなく、「わたしはこうしたら失敗した、次はこうしたいと思う」ということを淡々と書いてあるので、失敗談を見るだけでもためになるのではないかと思う。要点を一つにまとめれば、開発者のやりたいことを一番重視するのではなく、ユーザが求めることを一番重視するべきだ、ということかな。

なんか体裁がどうのこうのという話もあるが、これ(良書であることは間違いないのだが)専門用語が多すぎて分野外の人が読んだら頭痛くなると思うし、やはりギークの人がまず読むべきかと……。

あと

BEST SOFTWARE WRITING

BEST SOFTWARE WRITING

も読んでみたのだが、こちらは玉石混淆でそんなに楽しくなかった。マイクロソフトのソフトウェア開発について書かれたエッセイはおもしろかったけど。上記の本と訳者は同じで、特にこちらは訳が??と思うことも多く、どうしてだろうと思っていたのだが、Amazon の書評に

原著の意図を考えると…, 2008/5/11
By fjの教祖様 (銀河系太陽系地球)
そもそも、この本はプログラマーが良い「英語」を書けないことに業を煮やして、良い『英語の技術関連文章』を集めた、というものだ。それを日本語に訳してしまったら、「訳がよい」のか「オリジナルが良い」のか判らなくなるし、英語だからこその微妙なニュアンスも消えてしまう。そりゃ、原著の意図に反するのでは…

そう思って、原著と両方読んでみました。

うーん。やはり訳は『訳』ですね。この場合は「意味が同じである」だけでは駄目で、「ニュアンスが同じ」必要があると言う事を痛感しました。

とはいえ、採用されている文章そのものも十分面白いものですので、普通の文章集としても十分楽しめます。なので星3つとしました。
英語でも日本語でもOKな人は、英語の方を読んでください。

ということで、納得。