言語学と工学のあいだ

今年の研究室の夏の集中勉強会で読んでいる本は言語学系の本なのだが、やはり最近工学系の文章に触れ慣れているせいか、そういうつもりで読むと隔靴掻痒の感がある。「この問題への対処は3種類の方法が考えられる。1つ目はAという問題点がある。2つ目はBという問題点がある。3つ目はCという問題点がある」で終わっていて、じゃあなにがいいんだ、というのが出てこない(かもっと後ろで出てくる)。特定の立場にコミットしないことで批判をかわしたいのかもしれないが、そもそも批判されたくなかったら書かなければいいような……

あと、記述が体系的でなく、つまみ食い的にトピックを紹介しているだけに終わっているのもいまいちな感じである。場合分けをしていても場合分けが全部を尽くしていなかったりして。「自分たちの理論は使えるものだ」と主張したいのだろうが、どういうふうにしたら使えるのか書いていないので、「で、どうするの?」と思ってしまう。細かいところでは、用語の定義をしないで突然公理や定理を書くので理解が困難である(推測しながら読むしかない)。

実際に適用可能かどうかは置いておいて、分析だけでもしっかりしてあれば、それはそれで大事な仕事だと思うし、興味深い現象を取り上げて解説してくれればおもしろいと思うのだが、そういうわけでもない(よく言われているような現象を取り上げ、分析も中途半端)し、微妙な感じ……。