研究で難しいのは匙加減

午前2時になぜか目が覚めてしまったので、日記を書いてみたりする。1ヶ月以上離されていると、なかなかその日何をやったのか思い出せない。経験上、1日単位で思い出せるのは(その日の予定表が手元にあったとしても)2週間が限度である。

水曜日は研究室のイベントにしてあるので、午前中は論文紹介。スライド

  • Xiang Lisa Li and Jason Eisner. Specializing Word Embeddings (for Parsing) by Information Bottleneck. EMNLP 2019. (best paper)

これは EMNLP 2019 のベストペーパーだそうだが、潜在表現を学習するときに ELMo から離れないように学習する項を追加して学習することで、ELMo が何を学習しているのか、ということを色々と分析した、という話のようである。若干不明な点はあるが、分析はおもしろいし、こういう研究できるといいなあと思ったりする(分析がおもしろくないと研究にならないので、中々手を出すのは難しいが)。

午後は研究会。新入生に向けたテーマの説明会である。うちの研究室は B4 の新入生は大学院生のメンターが考えたテーマ案から所属するグループ(誰がメンターになるか)を選択し、具体的な研究テーマはメンターと相談しながら決め、夏に NLP 若手の会シンポジウムで発表する(半分程度はそのまま言語処理学会年次大会でも発表する)、という形でやっているのである。

教員からテーマ案を出したこともあるのだが、メンター自身が興味あるネタでないと、メンターが間に挟まって宙ぶらりんになってしまったり、あるいはそもそもメンターのなり手がいなかったりして、結構難しいようなので、最近は教員からはテーマ案はあえて出さないことにしている。ただし、頑張っても国際会議に投稿できなさそうなネタにならないよう、テーマ案に対するダメ出しはする。というのも、昔は言語処理学会年次大会で発表できるくらいのネタでいいかと思っていたが、ほとんどの学部生が国際会議に投稿するようになり、そうするとスタートの段階から微妙なネタで研究をしてしまうと歩留まりが悪いので、最初のネタの段階で意識合わせをしておいたほうがいい、ということである。難しいのは匙加減で、野心的過ぎるテーマだとか、実装が難しかったりするテーマだとかは、誰がどのテーマをやるかが分からない以上、テーマとして挙げにくい、という点である。こんな制約があるのに毎年メンターを引き受けてくれる学生諸氏には感謝するばかりである。

午後は学部教務の残務処理で、編入学生の単位認定に関する引き継ぎ書類を作成する。その過程で学科会議の議事録を見ていると不明点を見つけたので、学科会議で改めて審議することになる。これで引き継ぎをすれば、完全に昨年度の仕事は終わりの予定。