配属の前の授業でリクルート

朝5時に起きて2時間ちょっとメール処理。最近、受験希望者が多くてメール処理が追いついていない。毎日数件の問い合わせがあるのだが、メールをもらった段階で「おお、この人にはうちにぜひ来てほしい」と思う人は稀(10人に1人もいない)で、「あなたはうちの研究室では受け入れていませんよ」「あなたを受け入れるかどうか分からないので、もう少し教えてください」というやりとりをしなければならず、これがかなりの負荷なのである。

経験上、文科省の国費留学生を希望する人と、社会人経験者はほとんどウェルカムなのだが、それ以外の人は何が目的でうちに来たいのかもよく分からないことが多く、確認の手間が馬鹿にならない。もっとも、最初のメールの段階でそれが不明な人は一律断る、という運用もありうるだろうし、今年の後半(冬季入試)はそうせざるを得ないのではないかと思うのだが……。

午前中は古典論文紹介で以下の論文を紹介してもらう。研究室(学生室)で論文紹介をすると、発表者の周囲に座っている数人しか声が聞こえず、全く聞かずに内職をする人も多いし、議論もしにくいという問題があったので、今回は試しにセミナー室を借りてやってみるテスト。

  • Williams, R.J. Simple statistical gradient-following algorithms for connectionist reinforcement learning. Machine Learning (1992).

うちの研究室でも最近は強化学習をやりたいと思っていて少しずつ取り組んでいて、それに関して古典の論文ということで紹介してもらう。普通の機械学習教師あり学習)と強化学習で、用語は違うが概念的にはほとんど同じ、みたいなのがよくあるので、用語の対応関係を説明したりする。やっていることはそんなに変わらなくても用語が違うだけでとっつきにくく、「これはとても手が出せない」と思いがちなので……(たぶん手を出すのはそんなに難しくなくて、手を出してからのパラメータチューニング等が難しい)

いつもは国際会議のフルペーパー相当のものを紹介してもらっているのだが、この論文はジャーナルなので無茶苦茶長い。かいつまんで紹介してもらったが、やはりジャーナルは避けてもらったほうがいいのではなかろうか。自分も M1 で入学した直後の論文紹介でジャーナルを選択して後悔しかなかったし……(その後、ジャーナルの元になる国際会議バージョンの論文が普通はあることを知り、そっちを紹介すればよかった、と思った)

午後は休憩を挟んで同じくセミナー室で研究会。まず新入生(学部4年生と研究生)の自己紹介。今年度は学部生の配属は3人と過去最低であった(筆記試験免除は3人しか取らない可能性がある、と伝えたせいかもしれないが)一方、3人中2人が高専出身で過去最高であった(そもそも、これまで高専出身でうちの研究室に配属を希望したのは1人だけだったし)。みんな「授業を受けて、うちの研究室に来たいと思った」と言ってくれたのは嬉しかった。首都大に着任した直後も、学部の授業は負担かもしれないが、専門外のことをしっかり勉強するチャンスでもあるし、熱意をもって教えれば優秀な学生が研究室に来てくれる、という話を聞いていて、そのときはなんのこっちゃと思っていたが、現在は全くもってその通りだと感じる。

ちなみに、「毎回授業の最初にする30分間の雑談がよかった」という人と、「授業の内容に興味があり、専門ではこういう内容ができると思って」という人と両方いて、雑談がいいのか内容がいいのかよく分からないが(汗)授業では自然言語処理を教えるのは大学院の授業であり、自分の専門に関しては配属前の学部生に教える機会はないのだが、まあ余談で自然言語処理に関することをちょくちょく話しているし、そんなに不満はないかな。情報通信システムコースの学生に教えていたのは B2 前「オートマトンと言語理論」B2 後「情報工学演習(のアルゴリズム部分)」B3 前「情報理論」B3 後「パターン認識機械学習(の機械学習部分)」の4つで、情報科学科の学生に教えるのは B1 後「データ構造とアルゴリズム」B3 前「機械学習」B4 前「自然言語処理」の3つで、分担を考慮するとコマ数は変わらないのである。

あと来月の人工知能学会全国大会の発表練習。最近ほとんど参加できていないが、言語処理学会年次大会に参加するより刺激になるので、来年かさ来年あたり参加しようかなぁ。(現在は前期に週3コマ授業があるので、前期はほとんど身動きが取れない。論文執筆が佳境を迎える後期の負荷を減らすためにこうしているのだが、同じ学科で一番授業の担当が少ない人と比較して年間1科目以上負荷が高いので、正直過渡期はしんどい)