高一でモンテカルロを教えてる

今日は研究室で教職を履修中の学部生の授業参観というわけで、都立町田高校に行ってくる。町田高校は首都大からの教育実習生をよく受け入れてくれているそうだ。進学指導特別推進校に指定されているようだが、生徒を見ていてもなんだかアクティブっぽい雰囲気。

授業前に受け入れてくださった担当の方とお話ししたのだが、すごくエネルギッシュでびっくりする。いくつかの大学で非常勤講師もされているそうだが、納得。こういう方が公立高校で教員をしてらっしゃるというのはとてもいいニュースだと思う。科目「情報」教育の過去・現在・未来について色々お話をお伺いすることができ、大変参考になる。

高校1年生の授業も見学させてもらったのだが、(そういう言葉は使っていないが)モンテカルロ法を用いたシミュレーションの実験をしていてびっくりする(しかも、生徒たちもほとんど脱落せずついていっている)。内容的にも中学・高校の数学ともうまく連動していて、よく練られているなと思ったり。3人でグループワークをしたりするのだが、特に物怖じせず自由闊達に議論しているのにもびっくり。担当の先生によると、町田高校の学生はグループワークには慣れている、とのことだったが、まだ入学して1学期しか経っていないのに、こんなに積極的に動けるというのは驚きである。

合間に「情報」の教科書(情報の科学)も見せてもらったが、内容がとてもしっかりしていて、こちらも感心する。大学では1-2年生で習うような基礎を全部カバーしている。1-2年生には「情報系の資格が有利に働くことはほとんどないと思うけど、基本情報技術者試験くらいの内容は必須の知識なので、勉強するといいよ」と言ったりしているのだが、わざわざ受験対策しなくても、普通にこの教科書を通読してもらうだけでもいいのかもなぁ、と思ったりする。

後半はうちの研究室の学生の授業を見学させてもらう。もう同じ授業をやって4クラス目だ、ということでだいぶ慣れていたようだ。自分が高校教員や予備校教師には向いていないな、と思うのは、同じ内容の話を同じ週に何回もしないといけない、ということで、飽きっぽい性格の自分には厳しい。大学教員だと、同じ授業は翌年にやってくるので、いい感じに内容を忘れているし、雑談の内容(授業時間の1/3)は入れ替わるので、そんなに抵抗感はない。

もっとも、町田高校は(色々議論した結果)授業時間を45分にしているそうで、生徒に負担をかけず学習指導要領をこなすためには仕方ないが、演習を削るわけには行かないので雑談を入れる時間がなくなってしまった、という話で、悩ましい。結局教わる方としては教わった内容なんかほとんど忘れるのに、雑談の内容はずっと覚えていたりするので、雑談をしっかりしたほうがいいんじゃないか、と思ったりするくらいなのだが、使える時間は限られているので仕方ないのだろうなぁ。結局雑談は教員次第でかなり分散が大きいので、自分の関心と合わない教員と当たるとつまらないだけだし、どの教員でも最低限これくらいのクオリティが保証できる、というのは雑談部分ではなく科目の内容の方なので、自由にできる部分を減らす、というのがレベルの保証のためには有効なのだろう。

授業が終わった後は振り返りの時間で、もう1人首都大から理科の教育実習に来ている学生も交えて4人で振り返り。そういえば研究室では明示的にこんな風に振り返るようなことがないような気がしているが(年度ごとに区切られている共同研究は、年度末に振り返りをしているが)、振り返るのもいいことだなと、思ったりする。いや、本来毎年度末(あるいは最初)に学生と面談して何かを言うことになっていたような気もするので、来年度からやった方がいいのかも。

結局自分は高校の教職の免状は取らずに大学の教員になったわけだが、大学教員もこういう風に教育について教わる機会があった方がいいんじゃないかな〜と思う。