1年で論文100本読みましょう

夕方に南大沢で委員会があるので車で通勤。2年前に車で毎日通勤していたのが信じられないくらい、最近は車通勤がこたえる。そもそも車で通勤して首を痛めたり腰を痛めたり、さまざまな問題が生じて電車通勤に戻したのであるが……。

午前中は情報理論の授業。いろいろ雑談をしようと思っていたのだが、先週の復習と小テストをしていると時間が足りない(毎年小テストの回数を増やしている)。演習問題中心の授業にしたほうがいいのだろうか?せっかく3年目の授業でこなれてきているところを変えるのは大変なので、やるにしても来年度以降だろうか。

お昼から進捗報告。サーベイ中の学生が多いのだが、ちゃんと理解するために時間をかける、というのはよいことだと思うが、理解しようと思うと関連する他の論文も読んだりする必要がよくあるのに、その論文だけを読んでいて理解できない、というのは、単に(論文を理解するために、適切な)時間を使っていないだけではないかと思う。

サーベイのフェーズにいる学生は、1年に1本論文を書くとして、実装に没頭したり論文を書き始めると論文を読んでいる暇がないので除外すると、1本あたり100本の論文に目を通すとして、3ヶ月程度で100本をリストアップすることになる。3ヶ月は12週間なので、だいたい1週間に10本新しい論文をリストアップしてアブストラクト・イントロ・結論くらいは眺め、そのうち3本くらいは手法についても目を通し、うち1本を論文紹介する程度に精読する、という程度を想定しているのだが……。(先日の @neubig さんのチュートリアルでも、10本は「不十分」、30本は「良い」、100本以上は「もっと良い」とされていて、詳しい人が共著者にいれば30本程度でよいだろうが、共著者の中の1人はそのテーマについて100本くらいサーベイしている人がいないと厳しい気がする)

自分がインターンシップをしていたときは、3ヶ月のインターンシップサーベイから実装から評価(+論文執筆)までする必要があったので、最初の4週間(20日)で100本読む必要があり、1日に4-5本読んでいたが、インターンをしている期間は勉強会や授業がないので、サーベイにそこまで時間が使えただろうなぁ。

のリンク先を見ても、この「人間」コースくらいは大学院生は最低限全員やってほしいと思っている。ちなみにこのリンク先は筑波大の学部3-4年生の週1コマ1単位の授業らしい(学部生は就職する人も3割くらいいるし、ここまで自分も要求しないが……)。

  • 仏コース: (ただ単位が欲しい人向け)何人でもいいのでグループを組んで週2本論文を読んでください.1-2分の発表スライドを毎週提出してください.
  • 人間コース: (この分野に詳しくなりたい人向け)1人で週1本論文を読んでください.それとリファレンス欄にある関連研究5本のアブスト&イントロ&結論だけ読んできてください.1-2分の発表スライドを毎週提出してください.
  • 鬼コース: (この分野に進みたい人向け)1週目: 自分の興味ある論文を25本読んできてください.(中略)2週目: (中略)もうちょっとテーマを絞って興味ある論文を25本読んできてください.(以下略)

ゼミの資料を見ると、サーベイの仕方を具体的に説明しているのがなるほどと思ったが、本の読み方も人それぞれだし、論文の読み方は教わるものではないと思っていたが、スキルとして読み方を教わらないと読めない人もいるのかも、と新鮮であった(しかし、読み方を聞いたら読めるようになる、というようなものなのだろうか? 読み方を聞いて読めるようになる人は、読み方を聞かないでも読めるような気がするし、読めない人は読み方を聞いても読めない気もする)。

まあ、機械学習の勉強を新年度新たにスタートして、こちらは理解するのにすごく時間がかかると思うし、歩みが遅いように見えて1年後2年後に効果が出てくるだろうから、焦らず基礎に時間をかけることも大事である。(しかしとにかく論文の数を読むのも基礎学力のうちなので、だまされたと思って数をこなしてほしい。サーベイをちゃんとしていないと、そもそも論文が書けないので……。)

夕方は南大沢にて国際副専攻の委員会。今年度からスーパーグローバルだとかなんだとかいう話で、在学中に1年程度留学することが必須の副専攻ができ、それにシステムデザイン学部から参加しているのである。システムデザイン学部自体はまだ様子見の段階で、先行して始めた人文系や経営系のお話を聞いたりする。

副専攻というシステムでは、在籍するのは主専攻になるので、追加で取得しなければならない単位を除くと普通の学部生となんら変わらないのだが、システムデザイン学部(情報通信システムコース)は科目の依存関係(年次進行)上、留年しなければ単位を満たすことができないので、留年する前提で募集して入学する学生がいるか、というところが制度上の焦点である。

自分自身、留学して留年したのだが、留学する前は留年しないつもりだったし、留年することが前提と聞いていたら行くのはためらったかもしれないし、確かに学生にとってはマイナスポイントだろうとは思う。留学した結果留年したが、留年したことに関しては全く後悔することはなく、むしろ留年してよかったと思うし(留年していなければ、大学院で専門を変えたりもしていない)、留学自体も非常によい経験になったので、直接会う人にはそのように説明しているのだが、みんながみんなポジティブな印象を受けるとは限らないし、特に親御さんに対してはネガティブに取られても仕方ない。

16:20開始だったので、17時には保育園のお迎えがあると途中退席させてもらったが(審議事項は冒頭の30分ほどで終わり、あとは報告事項)、部分的にでも話を聞くと勉強になるので、今後も参加していきたい。