ときどきファックスやスキャナのお世話になって考える

午前中は情報処理学会に研究会の原稿の著作権を譲渡する同意書をファックス。

自然言語処理関係の学会は、国際会議に投稿した論文でも投稿してよいことになっていることが大半であるが、それとは別に元々の発表した国際会議を運営する学会が国際会議版の原稿の著作権を持っていることがほとんどなので、たとえば国際会議に採択された論文の内容を英語のまま別の学会の論文誌に投稿する場合、相当表現を変えなければ著作権違反になる。(さらに、自分が執筆者でなければ、誰かの文章をそのままコピーして発表したら盗用になる)

一方、著作権は内容ではなく表現に関する権利なので、内容が同じでも表現が違えば著作権的には問題ないことになる。元々は英語の論文を日本語にして投稿する場合、(図表以外は) 著作権的には問題ないので、あとは内容がどこまで違えばよいとするかは投稿先の学会の規定次第である。

……いろいろグレーなところはあるし、グレーにしておくほうが都合がよかったりすることもあるだろうが、こういうのを提出すると、著作権について意識させられる。(譲渡の同意書を提出していない場合、元々の著者が著作権を保持しているように思われるのだが、確かに権利関係をはっきりさせる意味でも、提出させておいたほうがいいだろう)

午前中はメールを書いたりいろいろスケジュール調整をしたり。来年の主要な国際会議の論文投稿シーズンを考えると、11月中に実装が大体終わっているくらいの感じがちょうどいいかなぁ。あまり早過ぎても息切れするし、遅過ぎると〆切に間に合わないし (手の動く速度は人とタスクによって違うので、一概に言えないが)。まあ、最後は名古屋を目指すことになるだろうな……。

午後はひたすら科研費の申請書を書く。先週水曜日に第1稿は埋めていたので、今日は図表を完成させて第2稿にするのが目標。自然言語処理の論文・スライド・研究計画書は、自分の手法やタスクをうまく説明できる例文を見つけることができれば半分仕事は終わったようなものなのだが、これがなかなか難しい。エラー分析でも、典型的な例文を実例から探すのは砂金を探すようなもので大変。ただし、いいのが見つかると論文でもスライドでもポスターでも使いまわせるので、時間をかけて探す価値がある。なにより、ちゃんと言語データを見るというのが大事なのである。

自分の脳内で考えてうまく行っていても、探してみたら現実は想定と違った、ということはよくあるし、実はそれがチャンスだったりもして、予想と違ったところに大きな研究のタネがあったりするのだ。(そういう直感に反する予想は、他の人も予想を裏切られることが多いので、おもしろがってもらえる。もちろん、想定内でも実データで検証することも重要なので、データをちゃんと見ている人は、どちらでも興味を持ってくれると思うが)

結局終電近くまでかかったが、図表も必要な情報は全部入れ、強調部分を数カ所ハイライトしたり、重複する内容を一箇所にまとめたり、前後の流れを調整したりして、第2稿完成。明日見直して初出の用語・概念の説明と表現の統一をして、最終タイトルを決めて第3稿にしたら、一応投稿してもいい状態にはなるが、ここからあとどれだけ粘るかが問題 (〆切は金曜日)。他の仕事が多々あるので、これは適当なところで切り上げて次に行かないと……。