データをローカルに置くのはタンス預金をしているのと同じ

修士の人たちが日本学生支援機構奨学金の書類を用意したりしているようだが、NAISTでは毎年基準が改訂されているので、昔と全然違うかも……ちなみに自分の業績優秀者返還免除申請書、これで全額免除だった (博士のときは半額免除)。博士に進学して学振の申請書出す予定の人は、いずれにせよ「自己アピール」というのを1ページ書かないといけないので、何事も練習だと思って書くとよい。

研究室のマシンのメモリ増設。最近メモリ増設なんてほとんどやってない。そもそも、こういうハードウェアを自分でいじるべきか、ということに近頃は疑問を抱いている。というのも、NAISTに入学した直後は、周囲の人が「パソコン組み立てたことなんてない」「ノートパソコンしか買ってない」と聞いてびっくりしたものだが、いまのクラウドの時代、そういう物理的な制約に頭を悩ませる必要はほとんどないのではないか、とも思うのである。

たとえて言うと、データをクラウド(たとえば Google Docs とか Gmail とか)に置くなんて不安、全部手元に置いておきたい、というのは、お金を銀行に預けるのは不安、全部タンス預金にしたい、と言うのと同じで、余程厳重に管理しないかぎり、家に置いておくより銀行に置いておくほうが安全であるのと同様に、データも(ほとんどの人が何重にもバックアップしないように)自分の PC に置いておくよりは、サーバの向こう側に置いておいたほうが安全なのである。

ちょうどタンス預金が家に行かないと使えない(もっと言うと実家に置いてあったりして)のに対し、銀行預金は世界中どこの ATM からでも自分の口座から引き出せるように、サーバに置いておいたデータは、インターネットさえつながればどこからでもダウンロードできる。(お金もある意味「データ」であり、「世界に1枚しかないこの紙幣」というのは普通必要ではないことから明らかであるが)

いまオンラインゲームを作る人は基本的にクラウドで、データは Amazon EC2 とかのサービスを使ってサービスを立ち上げ、ユーザが増えたら動的にリソースを確保するのが当たり前、という話を聞くと、なんだか自分のデスクトップで開発している自分って old type だよな〜、と思うのである。そのうち「世界に必要な銀行は5行」とか言い出す人がいたりして (笑)

(2011-02-05 追記) いくつかコメントに対する返答。

  • クラウドにデータを置くのは利子がつかない」その通り。でも Facebook に写真上げたら顔認識してくれる。はてなに日記書いたら検索できるようになる。そういうこと。
  • 「ローカルとサーバ両方に上げたらいい」その通り。銀行に預けるだけでなく、手元にも置いておくのと同様、ローカルにもサーバにも置いておけばよい。
  • クラウドに置くとデータが悪用される」間違い。銀行と同じで、預けた人しか自分のデータは引き出せない。他人のお金が引き出せたら銀行は崩壊する。カードと暗証番号盗まれるとお金が取られるように、アカウントとパスワード知られるとデータが取られるのも同じ。
  • 「データをクラウドに置いてもペイオフがきかない」その通り。法律で守られている銀行と違って、データに関してはまだ法制度が追いついていない。この点、必ずしも同一ではないが、将来的には保護されてしかるべきだと思う。
  • 「オンラインストレージサービスは前からやっている」その通り。別にそこを問題にしているわけではない。ただここまで広く使われるサービスになっていなかっただけ。この文章の目的は、「データを向こう側に預けるのはちょっと怖い。研究室の中にサーバ立てて自分たちのところで全部管理したい」というようなケースで、そんなに怖がることないですよ、ということを啓蒙する文章。

夕方、企業の方々が奈良まで来てくれたので小一時間お話。来年度以降どうするか、の打ち合わせ。遠路はるばる来てくださるのはありがたい。小一時間のために片道4時間かけてお越しいただくのは申し訳ないが……