中教審の答申と産經新聞の一問一答

腰を痛めてからというもの、姿勢や運動、食べるものやなどに気をつけるようになってきたので、「いつまでもデブと思うなよ」

いつまでもデブと思うなよ (新潮新書)

いつまでもデブと思うなよ (新潮新書)

を参考に、今年から手帳にその日何時になにを食べたか書いている。ちなみに自分は痩せたいわけではなく、筋肉がついて体重が増えてもいいので (というかインナーマッスルがついて腰痛が解消してほしい)、おいしいものが食べられるなら普通に食べたいので、厳密にはダイエット目的ではないのだが……。また、睡眠時間も書いている。こちらは自分は寝すぎるので、睡眠時間を減らしたい目的であるが……(汗) (そのうち Twitter 時間とメール時間と日記時間も書くべきか?!)

午後は修論の内容の議論。文をどのように単語列に区切るか、という問題はかな漢字変換で歴史的に研究されてきた話題で、アルゴリズム@koabeさんの文節をどう区切るかという記事に詳しい。結局機械的にやるならコスト最小法でやるのが決定版かな。どう切るのがいいか分かっているなら、CRF とか SVM とか使って系列ラベリングしてもいいと思うが……

夕方以降赤ペン先生。国際会議の英語論文チェックと修論チェック(2nd draft)。提出まで50時間切っているようだが……。

あと中教審グローバル化社会の大学院教育〜世界の多様な分野で大学院修了者が活躍するために〜答申が話題になっているが、概要を読むかぎり至極まっとうな答申に見える。しかしニュース記事を読むと全然明後日の方向に言っているように見える。答申を読んだ印象と全然違うのだが、これは自分の行間を読む能力が低いせいだろうか。ちょっと比較してみる。
まず産経。

中央教育審議会は31日、大学院博士課程で、院生が1人の教員に師事して研究を手伝いながら指導を受ける“徒弟制度”や、特定のテーマに絞り込んだ修士論文の廃止などを盛り込む大学院教育改革策を高木義明文部科学相に答申した。

次に公式資料。

異なる専門分野の複数の教員が研究指導を行う体制を確保
Qualifying Exam (体系的なコースワーク等を通じて修得される博士論文作成に必要な基礎的能力の包括的な審査) により質を保証する仕組みを,修士論文の作成に代えて博士課程(前期)修了 時に行う場合の制度的取扱いや博士課程(後期)への受入要件を明確化

「複数教員が指導する体制の確保」と「徒弟制の廃止」は相当印象違うと思うし、「修士論文の代わりに試験を行なう場合の取り扱いの明確化」と「修士論文の廃止」は全然違うと思うのだが……。

また産経。

答申では、博士課程の院生が、1つの研究室にだけ属して1人の教員から指導を受ける現行制度からの転換を提言。複数の研究室で指導を受けながら学位を取得するように求めている。

また、5年制の博士課程の2年修了時点で、特定の研究テーマについてまとめる修士論文を原則的に廃止。代わりに幅広い分野についてテストやリポート審査を行う「クォリファイング・イグザム」の導入を求めている。

ただ、博士課程とは別にある修士課程は今後も存続するため、同課程での修士論文などは存続を認める。

次に公式資料。

広範なコースワークや複数専攻制,研究室ローテーションなど研究室等の壁を破る統合的な教育 を経て,独創的な研究活動を遂行する一貫した学位プログラムを構築
[...]
一貫制と区分制の博士課程のそれぞれの趣旨がより明確になるよう標準修業年限や修得単位数の 在り方を検討するなど,一貫した博士課程教育の確立に必要な制度的検討

これはむしろ複数の研究室がどうこうということが問題なのではなく、「博士前期課程 = 修士課程」になってしまっているほとんどの分野に対して、「博士前期課程 != 修士課程」になるようにしましょうね、という話である。その一つとして、研究室のローテーションがあったりする、という流れ。なんか、前半部分だけ切り離すとほとんど文脈が違う。

自分はこの概要に書かれている方針はほとんど賛成(まあ単にアメリカのコピーをしているだけのようにも見えるが)で、大学院に入学する段階で企業への就職前提の修士課程と研究者になること前提の博士(前期)課程を分け、後者には最初から学費の免除や給料の支給をすべきであり、前者が途中で後者に進路を変更する場合にはなんらかの制約をかけたほうがいいと思っている。(実際、看護学では修士のコースと博士のコースは別であり、修士を出た人が博士に進学しようと思ったら、直接進学することばできず、数年間社会人経験を経てようやく受験できるようになるようだ) 

その上で博士で入学する人には、いくつか研究室を渡り歩いて専門を決めてもらう、というのでいいわけで、修士で入学する人はどちらかというと1つの研究室に最初から入ってもらい、そこで修士論文を仕上げる、と。(逆に言うとそれくらい優遇しないと日本で博士課程に進学してくれる人は減る一方だろう)

いろいろ調べると NAIST でもバイオはそういう体制になっていたりするようで、分野・大学によっては先行して導入しているところもあるようだから、そういう事例が日本でどうなっているのか検討してみるといいんじゃないかと考えている。(NAIST のはうまく行っているんだろうか?)