大学院博士後期課程と結婚のタイミング

D3の3人と近況について話したりしながら、大学院生の結婚について考える。

というのも、「統計学+ε: 米国留学・研究生活」の留学と結婚2というエントリを見て、確かに海外に行きたい人にとって、結婚というのはかなり人生の選択肢を左右するファクターだなぁ、と思ったので、どうするのが正解なのかなぁ、と思いを巡らせたからである。たぶん、唯一の正解はないのであろう。このブログ、他のエントリも海外で研究したい人にとってはアメリカの大学の人事の話とか参考になる話がたくさんあるので、RSS などで読まれるとよい。

さて、このエントリは秀逸で、ここで「留学=博士(後期)課程進学」とすると、博士に進学するときはいろいろ考えたほうがいい、ということも浮き彫りになる。自分が体験した内容以外は想像するしかないので、自分のケースについて体験談を書いてみる。

この分類に従うと、自分は「留学(博士課程在学)中に相手を見つけて結婚するパターン」なのだが、確かにこれは狙ってできるものではないと思う。博士の学生って異様なくらい数が少ないし、人付き合いもとても狭くなりがちなので、自分で意識して作らないかぎり、出会いがない。

卒業後に同じ勤務地の仕事を探すのが難しい、というのもそのとおり。自分たちも将来どうするか話し合っているのだが、妻が博士号を取得したあとは、基本的には自分の勤務地を中心に考えてくれる(非常勤や任期つきのポストしかなくてもよい)そうで、なんだか申し訳ない気持ちになるのだが、研究者夫婦で家族生活のほとんどの時間が別居である人たちも珍しくないという話を聞くと、どちらかが妥協して多少不安定な身分になるのは仕方ないかなーと思ったりもする。

研究職だと景気というよりは分野の栄枯盛衰に左右され、ポストがたくさんある分野もあれば、倍率100倍以上も珍しくない分野もあって、今後もあまりポストの増える見込みがなさそうな自然言語処理専攻の自分のほうが、一度いい条件の場所に収まったらそこから動かないほうが得策(辞めたら次がない)なのだろう。

やはり重要なのはお互い将来どうしたいか、どうなったら嬉しいか、ということを話し合うことで、男性は自分だけで悩んで決めて、決めた結果だけ女性に伝えようとする傾向があるのだが(自分だけかもしれないが)、それは非常によろしくない結果をしばしば招く。結果的に一方が最初に提案した選択肢になるにせよ、ちゃんとふたりで話し合って(相手のことも尊重して)考えるのが大事であり、根本的なところの優先順位がお互い一致するようになってないと、博士に進学したい・する・した人は、結婚相手との間でうまくいかないんじゃないかと思う。

最後になるが

ちなみに上の議論はあくまで、
離婚を前提とせずに結婚するという価値観に基づくものだ。
そもそも結婚をする気はない、とか、
住む場所が変わったら別の人探せばいいよね?
という場合はそんなことを気にする必要はない。

というのもその通りで、離婚を前提としなくても、研究の仕事が忙しすぎて(もしくは遠距離恋愛・単身赴任を余儀なくされて)結果的に離婚してしまったりするリスクが高いのも分かる。お互いなにかあったときも支え合って生きていけるので、ひとりでいるときよりアクシデントに対して頑健になれるというメリットはあるが、相手にトラブルがあったとき自分まで巻き込まれて引きずられてしまう人は自分のアクシデントだけでなく相手のアクシデントまで背負って苦労が2倍になってしまうし、そもそも結婚をしない、という選択肢も悪くないんじゃないかなぁ、と思ったりもする。どうも自分はよく言えばどんなときも動じないで冷静にいられるが、悪く言えば無関心で冷淡な傾向があるので、つらいことは半分、うれしいことは2倍のモットーを心がけたい……。