インターンシップ=恋愛結婚の不可能性について

WebDB Forum 2009 の特別セッション「インターンシップと産学連携の可能性」にパネリストとして呼んでもらったので、経験者として喋ってきた。ちなみに今日の日記のタイトルはもちろん

恋愛の不可能性について (ちくま学芸文庫)

恋愛の不可能性について (ちくま学芸文庫)

のパクリである。意味はない。大澤さん、セクハラ問題で京大教授を辞職してしまったと聞いてびっくりしたが。

さて、今回の企画はインターンシップする側とされる側に別れてそれぞれ3名ずつが出席し、体験談や思うところを話すという企画で、聴衆は思ったより学生さんの参加が少なかったように思うが、パネル討論はけっこう盛り上がった。学生側は MSRA/MSR インターンシップ経験者ばかりで、なにやら MSR 同窓会になってしまった(笑)が、楽しかった。

自分も持ち時間は5分しかなかったのでコンパクトに喋るしかなかったが、「インターンシップは恋愛結婚である」という持論を披露できて満足。要は、従来型の就職は、数回会社に足を運んで就職するか決めるので、お見合い結婚(結婚してから好きになる)に相当するのだが、インターンシップは数カ月べったり社員と過ごしてから決めるので、恋愛結婚(同棲したり、好きになって相性を見てから結婚する)に相当するのではないかと。もちろん研究やバイトの時間が奪われるとかデメリットもあるのだが、いまどきお見合い結婚する人あまりいないでしょ、恋愛結婚がデフォルトでしょ、というくらい、インターンシップを経験してからの就職がデフォルトになるといいと思っている。

そう書くと「いや、実際自分が行ったどこそこ企業のインターンシップはよくなかったので、意味ない」という反応をもらったのだが、これもインターンシップが恋愛だからなせることで、お見合い結婚(=就職)してから「こんなところなら来なかった」と思っても遅いわけで、重大な決断をする前に気づいただけで収穫はあったんじゃないかと思う。

あと、これも恋愛と同じなのだが、特に海外のインターンシップは一度応募して無理でも諦めないことが大事で、告白してふられることなんてざらにあるわけだから、学生も打たれ強くなって一度だめでも翌年再チャレンジしたり、他の会社にも出してみたり、しつこいくらいがちょうどいい。ここは草食系になるべきところではないので、貪欲に(笑)

最近思うのは、学生に「成功体験」が少なくなってきてしまって、挫折も体験しない(ナチュラルに、スマートに回避する術を身につけている)人が多いのだが、若いうちにどんどん挫折や悩んだりするべきだと思うし、プチ成功体験でもいいので、なにか一つ自分でがんばったという経験を得られるとよいと思うのだ。1回苦労して自分の「成功パターン」を発見できた人は、次から出てくる問題も同じ成功パターンを適用することができるし、いいサイクルを回していける。

斎藤先生の教職課程を受けていたときの話だが、明治大学はインターハイやインカレみたいに運動がとてもできる人(けど勉強はそんなにしたことがない)がときどきいて、ゼミを始めると最初は彼ら/彼女らは全然できないのだが、1年もしないうちに普通の学生をあっさり勉強でも追い抜いていくそうだ。運動で成功したことのある人は、自分がどういうふうにすればできるようになるか知っていて、それを勉強でも実行することができるので、少しくらいつらいことがあったり苦しかったりしても、壁を乗り越えるまで我慢できる、ということだ。そういうきっかけとして、インターンシップを使うのもありだと思う。

夜は懇親会で京大田中研究室の方々とパネリスト/MS の方々と歓談。田中先生から「教授になるためには」というレクチャーを受けたり。ええっ、そんなことまで! というような話を聞いたり。うーむ、いろいろと大変なのだなぁ。

教職で思い出したが、教職の免状を取得するために3年前から二重学籍で慶応大学経済学部の通信課程に学士入学していたが、年間の学費(10万円)も馬鹿にならないし、もう高校の教員になることは今後自分の人生ではないだろう、と確信したので、4月に退学した。思えば進研ゼミも Z 会も続かなかった自分が通信で経済学の学士を取り切るのは厳しかったかもしれない(ラジオ講座Podcast みたいのは続くんだけど、なにが違うんだろう?)が、これで就職活動も一段落した感じがする。他に通信大学に申し込みたい人がいたら老婆心ながらアドバイスするが、慶応の通信を考えているなら再考したほうがいい。検索したら「名前に釣られて入学する人がいるが、教材もシステムも前近代的で不親切なのでお薦めしない」という情報は見かけたのだが、さすがに慶応だし、そこまでひどくないだろう、と思ったし、二重学籍を認めているところはここ以外なかったので自分としては選択肢もなかったのだが、想像した以上に古臭いシステム(レポートは全部手書きだし)で、これは嫌がらせだろうかと思ったことが何回もある。日大や近畿大が通信で有名だが、中退では意味がないので、ちゃんと通信教育で定評のあるところを選択したほうが、トータルではいいと思う。