Language Weaver 表敬訪問

それで今回の LA 訪問の目的はせっかくカリフォルニアにいるので南カリフォルニア大学の見学と Language Weaver のオフィス見学だったのだが、コンタクトを取ってみると「招待講演してくれるなら旅費も出せますよ」と言われたので、ついでに招待講演もしてきたのであった。ちょっと準備不足だったと反省することしきりだが、一応みなさんに分かってもらえた模様。自分のいろんな研究テーマにも興味を持ってもらって、いくつも質問が来て参考になる。

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南カリフォルニア大学(USC: University of Southern California)は私立大学だが、どうもこの情報学研究所(ISI: Information Sciences Institute)だけは「こういう研究所を作りたいが自分たちはこの場所がいい」と創立時の教授陣がゴネたらしく、その条件を飲んだ南カリフォルニア大学が情報学研究所を獲得したらしい。写真を見ても分かるが、Viterbi School of Engineering という名前で、恐らく情報系の人はこれを見て「ははーん」と思うんではないかと(笑)

Language Weaver のほうは Daniel Marcu 教授と Kevin Knight 教授という、統計的機械翻訳では超大御所の2人の教授が始めたベンチャー企業で、すでにベンチャーと言うにはだいぶ大きくなってきているのだが、エンタープライズ翻訳を本業にしている会社である。

場所的には USC/ISI と Language Weaver は隣のビルで、ビル自体はツインタワーのように同じ大きさのビルが並んで建っているので、週のうち何日はこちら、何日はこちらというように働いたりしやすいそうだ。実際両方に所属している人もいるそうで、両方いいところと悪いところとある、と。

統計的機械翻訳をサービスとして展開しているのは現在 MicrosoftGoogle と Language Weaver しかないが、社内のマニュアルの翻訳に使っている MS と、一般ユーザにベータ版として公開している Google を除くと、ビジネスにできているという意味では Language Weaver しかないのである。

Language Weaver 自体は開発者とほぼ同数の研究者("Scientist")がいて、今年の EMNLP と ACL-IJCNLP (いずれも自然言語処理のトップレベルの国際会議)でも発表しており、論文を書くことと開発することが両立しているという珍しい企業だと思う。話を聞いてみるといろいろ苦労することもあるようだが、すごいなぁ。一応宣伝しておくとインターンシップも募集しているので、いま大学生以上で海外のインターンシップに興味のある人は応募してみるとよいかも(夏だけに限定されないみたい)。

ここ3ヶ月ほど思うのだが、やっぱり研究だとメモリの制約とか時間とか気にしないでやることもあるのだが、製品を作るとなると現在の制約下(必ずしも物理的な制約だけでなく、取引先の要求による制約であることも)でできる最適なものを作っていく必要があり、エンジニアリングも念頭に置いた研究じゃないと使い物にならないよなぁ、と思った。完全に全部が全部そうなる必要はないと思うのだが、せっかく応用と理論が近いところにいる分野なので、自然言語処理でも「応用可能性」というのをもっと研究でも評価したほうがいいように思う。

夜は「おいしいシーフードのお店に連れて行ってほしい」とリクエストしたら Warehouse というお店に連れて行ってくれた。USC/ISI からは歩いてすぐ。セレブとかがよく来るお店らしいが値段も良心的でおいしい。

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どうもごちそうさまでした!